youheyhey/ moonlightについて(2018/10/17)
こんにちは
もうがっつりサラリーマンの年齢になっちゃうと悲しいことに
テレビで同世代の人たちが一線で活躍している風景も見慣れてしまいます。
あの時バトルシーンで活躍していたラッパーはコワいお兄さんでしたが
今のバトルシーンは年下であったり、同年代です。
過去にはその同年代、年下のバトル動画を見ているときは嫉妬や悔しさも感じていた気がしますが
今はもう別世界として割り切ってしまっている自分がいます。
高校野球をテレビで見るときの感覚と似ています。
私は剣道を現役でしているときは、悔しさ(傲慢)からか分かりませんが絶対に他人の試合をすすんで見ることはありませんでした。
今は、一つの趣味として剣道の試合を見ています。
そーんな複雑な感情を抱きながら日本語ラップを聴いていると
「どこか共感」を持てるスーパーラップが上手いアルバムにハマってしまいました。
「youheyhey/ moonlight」
youheyheyを初めて知ったのはTwitterがきかっけでした。
「同年代でラップしている面白い人がいるなー」程度の感覚でフォローをした気がします。
そして、なんとなく似た感性なのか、タイトルに惹かれて初めて曲を聴きました。
「虚無虚無プリン」
このシングル?がすごくよかったんですよね。
それから待望のEP、すぐ聴きましたよね。
感想は背伸びしていない、等身大のラップで流行のエッセンスを大量に取り入れた一聴、聴きやすい作品です。
フローもトラックも良い調和を図っているものの、リリックも聞きこむたびに秀逸であることを理解させます。
「blizzard」
dalalalalala
やっと布団抜け出して
dalalalalala
眠気吹き飛ばして
dalalalalala
もっと夢を見させてよ
最悪な朝 もっと寝てたいよ
鳴るアラート 五度目のスヌーズ
カーテンあける
人との距離感 未だわかんないよ
絶望以外の感情 心を埋めたいよ
言葉出てこず また傷つける自分
うさんくせー大人の声 反吐が出る
あああれから僕たちは
何かを信じてこれたかな
かなぁ、かなぁ
不安で吐きそう、しかも泣きそう
情緒とかもう擦り切れそう
将来の夢 皆で観たい
金なくなり 増える勘繰り
売れない芸人の気持ちの方が分かるわ
俺がゴッホならしてくれ死後評価
好きなことしか
したくないって言った結果
床で布団とハグした日々
ダメだこれは
LINEの着信音 トラウマになる日々
明くる日明くる日 苦しい
あいつが送ってきたデモ
聞いたら元気出たかも
洗い流した過去
本気見せちゃおう
俺は俺だ 色んな生き方 あっていいじゃん
この歌が一番好きで共感できるんですが
勝手な解釈をすると、「うだつ上がらない生活から決別」という重たい決意を
朝起きれない他愛ものないあるある話で薄めているんですよね。
そもそも「朝を迎える」事情自体を、文章の中では「新しい日、心機一転」として捉える表現が多いです。
この歌も例外なく、それだと思います。
年齢を取るたびに、「将来の夢」は現実になります(しなくちゃいけない)。
ここでいう夢は「寝るときの夢」と「将来の夢」で表現し、起きることを「現実を見る」こととして表現しています。
「好きなことしか
したくないって言った結果
床で布団とハグした日々」
僕はこのラッパーyouheyheyをTwitterと曲でしか知りませんが、このラインから推測するのに
好きなこと(音楽)で生きていくことで、恐らく定職はないんでしょう。。。
現在の状況と、むかし夢見ていた理想像とのギャップに苦しむ様子をかわいく描いています。
「売れない芸人の気持ちの方が分かるわ
俺がゴッホならしてくれ死後評価」
すげぇパンチラインですよね。
比喩表現もフローもトラックも完璧で聴いてても苦にならない。ずっと聞いてます。
「fucktokyo」
今の生活はどうだ
落とす照明
胸に問いかける
ヤンキーは人生を謳歌
未だに行かれたオタクはマーダー
子どものころあったもの
見えの張り合い もうたくさん
俺はクズ それに尽きる
仲間でチルする時間は有限
作るか見つけるかてめぇで
目を見る夢を見る空を見る
目を見る夢を見る空を見る
ビルを過ぎる
吹き抜ける風は生暖かい
生きる夢を見る
生きる夢を見る
ビルを過ぎる
吹き抜ける風は生暖かい
生きる夢を見る
生きる夢を見る
唾奇が言ってた
暇な奴らは人しか見えてない
その言葉の意味について
君と語り合いたい
高いスーツ、高い革靴
高い財布、高い時計
より本当に必要なのは
夜を明かせるkickってことさ
母に教えるラッパー
来るアンサー
「この人食えているの」
気づきゃ外れたレールの上
走るちっぽけなkeep real
youheyheyのhookにメロディがついているので
ラッパーの割にはhookが豪華です。
SNEEZEにどこか似ている気がします。
SNEEZEよりもリリックの内面はシリアスで緊迫していますが。
ここの
「母に教えるラッパー
来るアンサー
「この人食えているの」
気づきゃ外れたレールの上
走るちっぽけなkeep real」
の現実と思いが相反する状況をきれいに描ています。
想像しただけで吐きそうです。
やっぱりサラリーマンとして生きるのは簡単ではありませんが正直、楽です。
絶対にご飯は食べて行けますし、簡単に生活が出来ます。
youheyheyからしたら、それは「逃げ」です。
やっぱり男ですし、一度っきりの人生チャレンジすべきですよね。(僕はゴリゴリに逃げましたが)
かっこいいです。
「labyrinth」
ここにいると永遠に求めてしまって
ここにいると永遠に求めてしまって
失うのが怖くて、城を固める
貯金の残高、仮想通過
再生数、PV数にフォロワー
上がりと下がりをずっとにらめっこ
重ねるカルマ、逃れる術を
知らない僕は目隠しされたまま
裁きを待つしかないのか
hey bitch
カラコンから見た世界は何色か
もう疲れた足がフランスパン
あいつは顔が良くて俺はダサ坊で
いっそ諦めて日陰に入って
決定的な違いが自信なら
俺も君も同じ通る赤い血
タイトルは迷路とかの意です。
足が棒ならわかりますけどフランスパンだなんて
面白い表現でプッときます。
「自分とはなんだろうか」特異性はなんなのかキャラクターはなんなのか。。
アイデンティティに戸惑います。
(社会人はみんなと同じであればあるほど、生きていくのイージーなもので
尖ってた後輩も同期も気が付けば、丸くなっていきます)
「あいつは顔が良くて俺はダサ坊で
いっそ諦めて日陰に入って
決定的な違いが自信なら
俺も君も同じ通る赤い血」
このアルバムは6曲22分、EPです。
RIP SLYMEがラップを教えてくれた世代がラップを一線でする時代です。
悪ぶるだけがラップじゃないことを教えてもらって育った世代のラップは
楽曲が普遍的で、聞き心地がよく、リリックもイキイキとしている気がします。
youheyheyも良いラッパーなので、過小評価なラッパーとして終わらないことを祈ります。
帰国して、ライブあれば行きたいなぁ。
日本語ラップオタク