ULTIMATE MC BATTLE GRAND CHAMPION SHIP 2012 について(2019/3/13)

こんにちは

私がラップにどっぷり浸かったのは、OZROSAURUSの格好良さでした。
でも曲以上にラップが大好きなったきっかけはMCバトルでした。

高校生の時にひどく感動して、何を血迷ったか
母親に動画を見せたのはUMB2006HIDADDYFORKでした。
日本人であれば、義務教育レベルで見たことがあると思います。
この時のUMBはsharleeが「ぎえぇぇー!」とバトル前と後に叫んでるのが印象的です。



めっちゃやばい身なりしてるけど
イカ臭いような感じ
まるで医学生か苦学生
みたいにクラブ全部ロックしてやるぜ
俺がICE BAHN

ですね。



そこからどハマりして
REPRESENT MC BATTLE2007の輪入道ZONE THE DARKNESSTK da黒ぶちのバトルに
感動しました。
即興で韻を踏む以上に、熱量とフローを加えた試行錯誤の末のスタイルウォーズを
芸術的にも感じたバトルでした。
輪入道の初々しい声が印象的です。


曲以上にMCバトルを好きになり、
ファンになってしまいました。
今は「MCバトルのヘッズは全然わかってない」とか「ガキ臭い」とか
安易に揶揄された発言をよく聞きますが
私個人は全然そんな風に思えません。
(なんならフリースタイルができなラッパーほど馬鹿にされていた当時
SEEDAが特にそんな揶揄をしていたような)からしたらMCバトルも正直
シーンの中心にな気がしました。)


MCバトルに没頭してしまうほどに『凄さ』があり、
その「凄さ」はびっくり人間的な超技です。


そんな私が一番好きな大会は『ULTIMATE MC BATTLE GRAND CHAMPION SHIP 2012 』です。







この年以降にUMBがlibra(寧ろMSC)と決別します。
その象徴とも言えるのが司会者の変更です。
大華とsharleeの降板です。
徐々に脱MSCでしたが、2013年より完全に色を変えはじめます。

そんなlibra色を微かに残し、R指定が初優勝した年はローカルで無名に近かったMCの台頭でした。
正直人気投票に近かったMCバトルの価値観をスキルだけで地方が如実に塗り替えた年になりました。


MCバトルで特に挙げられる土地は東京を除けば、北海道、茨城、横浜、愛知、大阪、福岡だと思います。
この年を機に全国で名が挙がったのは島根のkowree、宮崎のmol53(この年は福岡代表)でしょうか。
京都の私がmol53をUMBで見かけるようになったのは熊本予選の決勝でのCOOKIE戦です。
この頃はakaオナペットみたいな名前で出場しており(恐ろしい名前)、今とはかけ離れた恐ろしくキテレツなフローをしています。

当初島根なんかに予選もなく、kowree1人の力で後に予選を開いたと言っても過言ではありません。
そんな色んな意味でMCバトルの分岐点となった大会の私が感じた名場面を3つ挙げたいと思います。




第3位『オープニング
前述に述べた通り、大華とsharleeの司会はこれ以降ありません。
2人のbeatboxが聞けるUMBはこの年で最後です。
カメラが振動するほどに重低音が響き、芯がある野太いドラム音から始まります。
ふんだんにHIP HOPのエッセンスを感じさせてくれます。

このbeatboxが聞けるだけでこのDVDは価値があったなぁと思います。




第2位『準決勝:R指定 対 早雲



大阪代表R指定です。2010年に1回戦で東京代表の晋平太と2011年も1回戦で東京代表のDOTAMAに負けています。

大阪のヘッズたちは2008年まで続いたHIDADDYの悲劇がよぎります。
3年連続大阪の看板を背負ったHIDADDYが一回も優勝できなかった(全国で通用しなかった)過去を思い出します。
案に大阪で一番ラップ上手いやつはFORKBES般若に勝てない=西日本が弱く、東日本が強い。
日本語ラップ、関東地方中心説は根強かったです。(それが元より人気者投票説ですが)

それを覆すべく大阪の期待を一身に受けたのが若手ラップモンスターことR指定です。

2012年は奈良代表NAJIMI、沖縄代表RITTOを余裕で完封していきます。
そして準決勝、京都代表早雲です。

京都のラップといえば安直にR-Ratedが浮かぶかもしれませんが、
ほとんどの京都のラッパーにはBONG BROSが根付いています。

2007年、2008年とRACY
2009年、2011年はコズモ(B-COSMO)です。
二人ともBONG BROSです。
BONG BROSは京都と滋賀を中心に活動し、総勢17名のラップグループ。(だから京都と滋賀はラップの気質が似ているんだと思う)


DJは6名とビートメーカー2名、あとグラフティ、カメラマンが数名います。
本選でも幾度となく、お呼びがかかるスーパーDJもBONG BROSです。
それがGAJIROH、MUKECCHOですね。
京都のラッパーは考えることなく、この二人を指名しているシーンがあると思います。


そんな京都で莫大な支持を集める集団を覆したのが
ZERO GRAVITYの歩歩早雲です。

歩歩は大阪の影響を受けたところも強いですが(当人もHIDADDYに憧れたとのこと)、
生粋の京都のMCとしての早雲が今年は代表でした。

早雲はクールに韻を踏んでいくFORKのような出で立ちでした。
個性の強い大阪に反発するように生まれた京都の文化なのでどうしても逆にいきます。
大阪は即興性よりもエンターテイメン性を含んだ韻を好みます。
京都は即興性をより好み、滲み出る黒さを評価します。

関西の二大巨頭のバトルでもでたラインの関西のエースを決める戦いでした。
残念ながらスキルは天と地でした。
大阪のR指定が京都の早雲を圧倒しました。
京都のヘッズを絶望に突き落としたのは、フローで圧倒したのではなく、
単純な語彙力と即興力で完封した点でした。
R指定の性格悪い点は、相手が得意とする分野で圧倒したところでした。


日本一を決める前に
まずは決めようか関西のエース
俺に勝つのは難解度S
フタを開ければワンサイドゲーム

韓国やったら お前もドラム缶に詰め込むニダ
尼崎 美代子角田
やってきた感じお前床下の白骨死体
俺もっとヤバいライム発掘したい

あの即興性で、このライム。
完全に芸術の域でした。






第1位 『一回戦:mol53 対 輪入道



一回戦余裕の表情で現れる輪入道
この当時、最強と謳われたR指定、輪入道、TK da 黒ぶち、晋平太
誰が優勝するか、正直わかりませんでした。
この時の輪入道は千葉代表ではなく(千葉は田中光
罵倒代表でした。しかも優勝ではなく準優勝、本当の代表はTK da 黒ぶちでした。
ただ埼玉で既に代表の資格を持っていた為、輪入道に譲る形となりました。
それでも、スーパー全盛期の二人の頂上決戦、事実上の関東一を決める対決でしたので
どちらも絶好調の紙一重の結果でした。


優勝候補の一角である輪入道は完全に想定された横浜代表RHYME&Bに標準を合わせている表情でした。

その予想を覆すのが福岡代表mol53
予選の福岡から覆し難いプロップスをスキルだけで覆していました。
福岡の準決勝はRIO、決勝は福岡の雄、REIDAM(確か、名前変えてMAD,,,なんちゃらに)。
POCKY,智大が出ないこの年、宮崎の外様大名のmol53が躍進しました。

UMB2011の敗者復活ではDARTHRIDERに負けるほど、
知名度が乗ってきていませんでしたが、
この日、一回戦から甲高い声で輪入道にも物おじしないスタンスが好感を持ちました。
なんなら登場してからの輪入道の余裕の表情がそれを際立ててしまいました。
感情とバイブスを乗せ、よい所よい所できれいに踏むスタイルの輪入道に対して
荒々しいフローに、甲高い声で、感情をぶつけるmol53の対決でした。


輪入道
切ってみなよ首元
逃げも隠れもしねぇんだこっちはよ
こっち見て首元切るとか言っちゃうの九州のお前はよ
そんなんで関門トンネル潜れるのかよ
しょっぺぇライムは止めろよ

mol53
OK バチバチ どこで沈める
恵比寿LIQUID ROOMで沈める
OK 一発で逆転さすぜ
場外ホーマー 雑魚はバイバイさ
道端の猛者のbig up, big up
スニーカー鳴らすぜT.O.K.Y.O
俺の声が喉仏 掻っ切ってまだまだ燃やし足りねぇ

輪入道
初めましてだからちょっと落ち着け
とりあえずまぁ見れてよかったぜ
本当に帰り頑張って気をつけてね
一回戦で負かしちゃってゴメンね
問題ねぇ 来年また出ろよここまで

mol53
OK その役目 大根役者じゃないらしい
輪入道は猛者
分かってる だから燃やして来た
一回戦で負ける訳ねぇだろ ボケが
俺が一発でかまし切るぜ
根こそぎ頂くプロップス
勝者の椅子 ゴールデンマイク
昔から夢見たもの 掻っさらうだけ




血なまぐさい「Cypress Hill/Latin Thugs」のトラックの上で
睨みつくす輪入道、帽子を目部下にかぶり仁王立ちするmol53
正直、このバトルを見るだけでもこのDVDは買う価値があります。
一回戦一試合目が実は最高によかったです。


決勝は!?となるかもしれませんが、
最後にmol53が珍しく着地に失敗しており、あまり気持ちよくない最後だったので
外しました。笑

日本語ラップオタク

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