SHING02/緑黄色人種について(2018/3/23)

こんにちは


昨日は社会人ラップ選手権によく出場される方々と飲み会をしました。

『はて、社会人ラップ選手権とは。』

と思う人に軽く説明をすると、高校生ラップ選手権に触発されたオッサンの為の後発的イベントです。
若い高校生よりもラップが下手ですし、見た目も悪い。サラリーマンですから、職業以上のキャラクターの振り幅も狭く、若い子からするとおじさんが悪ノリしてるようにしか見えません。


でも良い点は2点あります。
・ラッパーの敷居がかなり低い点
・各々が若い頃に憧れたラッパーの影響を受けている点

特に後者は面白いです。
今の若い子は正直、lick-gを薄めた偽物みたいなフリースタイルをする子が多くて、面白くないです。

ただ、おじさん達の青春は各々違って、
人によってはDEV LARGE、ZEEBRA、YOU THE ROCK☆、THA BLUE HERB、EMINEM等がヒーローだったりします。
そんな影響を受け、色の違う(下手だけど)フリースタイルをしているおじさんを見てると面白いと思います。

てかおじさんになっても、ラップしてる人は頭でっかちの変態です。
良質な知識が詰まった人たちが多いです。
(おじさんになって初めてラップし出した、聴きだした人は若い人同様ですけど)



そんな中で今回、感想を述べたいアルバムは下記です。
SHING02/緑黄色人種
緑黄色人種
SHING02
Mary Joy Recordings
2003-08-22


このアルバムも日本語ラップに多大な影響を与えました。
理由はこのアルバムの曲の内容です。

ところで、SHING02というラッパーから述べたいと思います。
日本語ラップでは前述したように、ラッパーの が業界にばっちり影響を与えます。
その影響はフローとかスタイルに大きく変化を与えます。
私が個人的に下記が日本語ラップに影響を与えていると思います。
ZEEBRA ヤンキー、声
ILL-BOSSTINO ポエトリーフロー、世界観
SEEDA、BES フロー
KOHH トラップ

乱暴に雑に分けると上記になると思いますが、
上記のラッパーが出現したら、周りのラッパーは全員当該のラッパーのスタイルに多かれ少なかれ類似しだしました。
ZEEBRAのフローやスタイルを丸パクリしたのがKJILL-BOSSTINOがはじめたポエトリーのフローはSHING02などに影響を与えました。
こんな稚拙なことを改めて書く必要もないんでしょうけど



「じゃぁILL-BOSSTINOのおさがりでしょ?」


多少はそうなんでしょうけど、SHING02の世界観、芸術的感性がずば抜けていました。
このアルバムの内容はめちゃくちゃ怖いんです。
壮絶な社会風刺です。
カリフォルニア大学バークレー校卒ですから、今までにないインテリジェンスなラップです。
(「400」「歪曲」と比較して)音楽的にはまだ未完成感が強いですが、荒くパンチ力勝負のアルバムになってます。


「真吾保管計画」



86年ディエゴ・マラドーナスタイル、11人ごぼう抜き
先取点入れる口車の運転手
助手席にはベクトルオメガ、後部座席にDJノザワとキャピタル トランクにはビートを搭載
必殺仕事人音を斬る、スナイパーの様に時間厳守、分刻みの行動
まるでデューク東郷、国際アンダーグラウンド、意気投合
ゴルゴダの丘に99年全員集合
使徒の様にシンゴ2号機襲来! ビートとのシンクロ率無限大、測定不可能
原子核反応、アインシュタインの公式も予測できなかったE=シンゴの2乗
危険な情事、一瞬の悲劇、春山茂雄よりも深い「脳内革命」
頭を刺激する5分間の極上モルヒネを分泌

「リリックが刺さる」こんな表現が合う曲です。




「少年ナイフ」

アイツがまたうざい事言ってきたときのためにみせる
バタフライ
「先生さようなら」
やっと帰りの時間だ
今日ゲームクリアすれば明日学校で自慢だ
え?なんかまた先生が呼んでる
すごい鬼みたいな形相、なんかちょっとまずそう
え?名札なんか知りません 嘘じゃありません、ぼくじゃないです
チクショー、あいつがチクったんだ、今横でこっち見てる
あとで捕まえたらマジでほんとに思い知らせてやる
え、カバン?ロッカーの中です
何も入っていません、本当です
ああ、あれが入っていることが見つかったら怒られる
どころか なにをされるかわからないよどうしよう?!
あ!アイツが勝手に取りに行った、ふざけんな
おい、なにやってんだよおまえ、放せったら
先生までこっちにきて頭がこんがらがってきた
おい、だからおまえの名札なんてどぶに捨てたって
じゃなくて、だから、だからそこは何も入っていないから
ああ、それは返せ!
これ?これはカッターです
あぁ怒鳴らないでください、痛い やめてください
知りません、痛い、放してください
放せ!みんなが見てる、あいつが笑ってる
頭が真っ白になってる こっから逃げなきゃだよ
ああ、先生は敵だ!
先生さようなら

当時の社会問題(家庭環境、学級崩壊?、いじめ、テレビゲームの普及、キレる若者)にスポットを当てた曲です。
「先生さようなら」の締めがぞっとします。



「ひとつになるとき」

問題、人類皆兄弟喧嘩する程仲が良いのか悪いのか?
答えは後者、理由はおそらくお互いのこと理解できないのに
干渉しようとするのが全くいかんでしょう
先入観、偏見、差別意識、全て本当です、って顔に書いてある

全ての言葉が一つになるとき
全ての教えが一つになるとき
全ての音楽が一つになるとき
全ての力が一つになるとき
北と南が一つになるとき
西と東が一つになるとき
右と左が一つになるとき
今と昔が一つになるとき
だから
全ての言葉が一つになるとき
全ての教えが一つになるとき
全ての音楽が一つになるとき
全ての力が一つになるとき
心と体が一つになるとき
光と影が一つになるとき
空と地面が一つになるとき
男と女が一つになるとき

2003年の時から、この感性でラップできるの凄い。。




「NO.13」

胸のイタミ13階から見た景色
目の前に広がる夜景
やけに静けさが遠くに感じる屋上
足が臆病になるのも押さえ
6秒間の黙祷に人生がよぎる
振り返れば一瞬の儚さなればこそ
枯れたこの目に映るぼやけた映像は止まっている
気づけば出口を必死に探していた
この迷路の向こう側は新しい入り口になるから
嗚呼、あの人のあの一言あの出来事出来心がのしかかる
やっかいな社会の重みが手首の刃物
だって人間だもの
煮え湯を飲まされて、喉元すぎれば熱さは体の隅々まで届く
今夜ほど孤独に感じたことはない
何をしても、咳をしても一人
息を引き取り消えてしまう前に
それを知っただけでもありがたい
去りがたい場所があってこその旅立ち
生命力そのものをも上回る、偉大な悲しみの力
静かに私を迎えに来た、後を濁さずに発つこの地から
しかしこれほど潔い清い気持ちは、いまだかつてあっただろうか
初めて、確かに何かをしたいと思い
それを実行するときが来た
階段を上り、足をかけるだけのこと、ただそれだけ
冷たい風の応援を背に、この一時は永遠に続く
もう私の頭上に太陽は昇らない
それが正しいのです、たぶん
だらだらと続いてしまった駄文に恐縮ながら
終止符を打つ。

短い曲ですけど、ぶちぬけてますね。
混沌した社会に嫌気さして13階から飛び降りる話です。



日本語ラップのアルバムの中で、当時高校生の私が3枚目に買ったアルバムです。
なお、1枚目が「般若/内部告発

内部告発
般若
エイベックス・ピクチャーズ
2006-02-22

2枚目が「SEEDA/HEAVEN

HEAVEN
SEEDA
ケイエスアール
2008-01-30

だから、人生で結構聴いたアルバムになりますね。

日本語ラップオタク

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