RHYMESTER アルバム

RHYMESTER/グレイゾーンについて(2018/11/9)

投稿日:2018年11月9日 更新日:

こんにちは


日本語ラップにアイドルが進出したきっかけは紛れもなく「ジャニーズ」。
すげぇ大雑把な理解で曲の中にいきなりのラップをぶち込んだ曲を作りました。
日本の音楽シーンのえげつないほどのレベルの低さを感じたけど、
その中でも一部からも評価され続けるラッパーがいる。


AAAの日高こと「SKY-HI」だ。


きっかけはUMB東京予選に22歳・無所属で参加し、2回戦で負けたものの(回鍋肉に負けたんだっけか)
印象に残った為、その年のリベンジに出場したことだ。
この年は2009年、般若の次のチャンピオンは誰か、どんなスタイルかと模索している中だった。(チャンプは鎮座ドープネス
初見でみんな心を奪われたし、もっとフリースタイルを聴きたくなった。
なんと言っても肩書がエイベックスじゃなく、無所属なことに好感があった。


そんな評価できる面もあるが、インスタグラムで可愛い女の子にメッセージを送っているところらへん
神門から言わせれば「あいつらは顔が良いから、ラップが下手くそ」なんだということですね。
果たしてラップのスキルが高いことが、
ラップが上手いこととは直結しないみたいなこともROWAXX言ってたし
最近、そんなツイートを見たので、つい。


ところで、今回SKY-HIの母校ギャラクシー生から
アルバムを取り上げたく
RHYMESTER/グレイゾーン
グレイゾーン
Rhymester
キューンミュージック
2004-02-04




偉大なラッパーですね。くっそ名盤。
なんならRHYMESTERのアルバムの中でどれが一番好き?って聞かれたら
本作品が一番多いんじゃないのか。(独断)
この時のMummy-dがかっこいいってなんの。
今も違う意味でカッコいいけど、この時はふたりも尖ってた。(なんか、今はおばあちゃんみたい)
キレキレのラップに心を打たれましたね。


内容は社会風刺がバリバリにきいたタイトル通り「グレイゾーン」
でも胃もたれしないほどにポップにRHYMESTER風の価値観でラップしています。
「ウワサの真相」とは違ったスタンスで、何やらずっと怒っています。

ウワサの真相
RHYMESTER
キューンミュージック
2001-12-19

状況がイラクだったり、911だったり、世界を包む不穏なくらい時代でしたし。
前作の「ウワサの真相」と比較すると、ヒップホップという点でもだいぶ違います。
「ブレイクビーツのループの上でバシバシシンプルなラップをハメていこう」「客演なし」とかの姿勢が。


そしてRHYMESTER節というのか「変に大きく出ない」のが特徴のリリックです。
リリックがユーモアで面白い。とくに本作は一番面白い。(そういやリリック面白いラッパー減ったなぁ)
「ああ、こんなことを韻踏みながら面白く言うんだぁ」
特に本作はメッセージ性が強い分、比喩表現が光りました。




「グレイゾーン」

頑固者の中の頑固者と呼ばれてきた何度も
俺はファンキーなロン毛のバンドマン
いわば社会のアウトロー 言ってくれてもいいんだぜ
ピーターパンともロクデナシの優柔不断とも
でもな母ちゃん そこだけは譲れねんだ 百歩も一歩も半歩も
聞きな母ちゃん 俺はプロフェッショナルMC
ハンドメイド 蕎麦ならば手打ち テメーの味出して決まる値打ち
Never ever 誰かさんの受け売り サグでブリンブリン またはポップセルアウト
型にはまればトップセラー ニオう ニオうぞ 嘘くせーな
誰がどうとかホント面倒くせーな 俺はどこにも馴染めない
借りてきた褌は締めない ハミ出した部分は隠さない
俺の仕事は本場モンの翻訳じゃない だから母ちゃん聞けよ 俺の抱負を
「アンタ達も超ドープよ」 『も』ってなんだよ まあいいや
俺 Mr.D 見てな母ちゃん 稼ぐぜBig money

危険だ! その錆び付いたシーソー
右も左も危なっかしいぞ
なら数段上のグレード
Welcome to the gray zone
(お宅の娘さん達のプレイゾーン)

ありがちな指摘 ありがちな主張
ありがちな刺激 ありがちなショック
ありがちな敵 ありがちな思想
こちとらもちっと知的な層 なんせイヤってほど見てきたぞ
あっけなく転んだ有象無象 たった一つのでけえ嘘
つききれねえばかりに右往左往 されど悲しきドラマ中毒
またぞろ悪い奴役とヒーロー仕立て 一先ずご満悦 like アホの大将がぶつ大演説
こいつはどっかで見た場面 ものの見事に過去から学ばねえ
浮かばれねえ無数の屍 だがゲン曰く、ネバー・セイ
「仕方ねえ」 行けるとこまでどこまで逃走するが
小動物なりに闘争する いずれにせよこれはもう一つのルール
Welcome to the gray zone

「敵? 味方?」
いや、ノーサイド貫く俺の灰色の脳細胞
言ってみりゃ唯一の商売道具
使いこなして奪い取る高配当
例えば奴のシンプルな答弁
聞こえはいいが陳腐且つ不公平
目開けりゃ貧弱な光景 そこでこちらも新タイプの暴言
マークシート鉛筆で全部塗り潰したみたく
「Paint it gray」 さあ、これで花マル一個くれ!


結構、面白いいから歌詞を全部乗せちゃいました。
本作、確かこの曲から書いたそうです。
あの伝説の日本武道館ライブでの「グレイゾーン」は震えるほどかっこよかった。


危険だ! その錆び付いたシーソー
右も左も危なっかしいぞ
右翼も左翼も危険だから、自分を貫けというメッセージだって
学生のころ、友人から聞いたけど、ろくに調べもせずに今もなお信じています。
Mummy-dもいつもかっこいいんですが、この曲の宇多丸さんはなおキレキレのバース。


ありがちな指摘 ありがちな主張
ありがちな刺激 ありがちなショック
ありがちな敵 ありがちな思想
こちとらもちっと知的な層 なんせイヤってほど見てきたぞ
あっけなく転んだ有象無象 たった一つのでけえ嘘
なんだかんだずっと自民党政権で(この後民主党になって、日本人は頭冷やすけど)
不景気と叫ばれ、何か鬱々とした思いがある社会だったのでしょうか。(僕は小学生だから覚えてないけど。笑)
このトラックはMummy-d作です。言葉通りオリジナルなラップにオリジナルなトラックですね。






「Big Mouth」

訳があんだよ このデカい態度は
Once again back is 僕、宇多丸
握り拳二つで
凄く余るくらいのサイズのシシカバブ
溢れちゃうね 君の口から多分
デカく育つ目の上のタンコブ
耳障りな言葉もっと運ぶ
雑誌眺めてハーコーぶるだけなら
いっそコイツが最後のブームで構わねー!
By 元帰宅部


苦手なんだぜ 自画自賛は
それにつけても俺のビッグなこと
ビッグなシナリオ ソウ・クラモト
そのスケール 世界のリュウ・サカモト
ジャッジしてみな like コテツ・ヤマモト
ロマンチスト まるでリョウマ・サマモト
もしくは DJ ジン・ヤマモト
名作産み出す like アキラ・クロサワ
クラシック まるでセイジ・オザワ
または韻踏むオサム・ダザイ
巨匠と呼ばなきゃ振り向かない
聞き飽きたぜ お前のでけえ口


シンプルなビートにラップの掛け合いをするRHYMESTER
この歌を生で一回見たかったなぁ。
訳があんだよ。このでかい態度には
良いパンチラインだなぁ。




「スタンバイ・チューン」

粋なライムといなたいブレイクビーツ
Rhymester the men in the place to be

Microphone No.1 スタンバイ中
マシな道いつでも考え中
ハテ、どんな風が一番ナイスか
答えはいまだ分かんない中
意外にも律儀に階段踏むのでなきゃ
たちまち団体ムードに流されがちの
イカンタイプな俺故 賛成の反対するノダ
ただし、いたずらに難解ぶることなく
イタズラしちゃうマイ・ブルース
ライク 反応逃がさん愛撫
マジブルブルいわす More than vibe
万歳するより犯罪するより
漫才するように散財する為にはまず
ヤバいライブするしかねえのさ マイライフ

Microphone No.2 スタンバイ中
メインディッシュまで御案内中
このレストランはノット・フランチャイズ
常連のお前らは案外通
お行儀よく床並んだイス蹴っ飛ばし
Heve some fun time
味濃いだろ? ノット関西風
辛けりゃ頼みな 半ライス
俺のスタイルを噛んだ犬捕まえて
刻んで三杯酢で和えて店頭で販売中
おかげでまた膨らむサイフ
舶来風の儚いブーム 見切りつけて
アジアンタイフーン起こしたるぜ
いざ行かん Rhymester
付いて来な Myブースター


この歌も「Big mouth」同様、すげぇ良い2マイク。
RHYMESTERを超える役者は出にくいでしょうね。
悪態つかず嫌みのないスタイルといえば、、、と思えば1マイクですけどCreepy Nutsも当てはまるのかな。




「ザ・グレートアマチュアリズム」

ノイズだらけのアナログレコード 回れば本気モード
シャベクリ倒す こちとらシロウト 気にしねえ トチろうと
スタイルはスレスレ非合法ぐらいの 逆転の思考法
偉大なるアマチュアドシロウト 止まらない初期衝動

俺の名前はトーシロ
よく聞きな道行くトーシロ つまり同志よ
素晴らしい音楽史のパラサイト
ヒップホップはまだくたばらない
俺の時代が終わっても
このブームが去って
明後日にもごみ箱漁っても
電気すらなくなっても
最早とめられないこのアートフォーム
ズブならズブほどズブズブはまるグルーヴ
未熟ならば未熟なりに
光り出すニューブルース
チリも積もれば山んなる
ただの石も磨けば玉んなる
ヘタな知識持つだけ邪魔んなる
自分らしくありゃ即サマんなる
ネコ踏んじゃったすら弾けないが
韻踏んじゃったらお前もライマー
そんなヴァイラスまき散らす
スタイラスの上で誰かが待ちきれず歌い出す

半ば本格派 半ば道楽か
勝手次第な好事家なくば
かつて生まれた娯楽は無駄
だがその興味の源泉は局地局地に伝染し
無償は承知の原点に立ち返り独自に喧伝す
誰がために誰がためもなく
ただ儚く身を焦がす
鋼の車輪と言葉操り 頑なに型はなし ならば
揚雲雀風に舞い 蝸牛枝に這い
神はそらに知ろしめし 世は全て事も無し

チキショウ!
持ってる奴に持ってない奴が
たまには勝つと思ってたい奴
値段もロゴもドデカいシャツは着ないで
ラクしてモテたい奴に朗報!
願ってもないチャンス
ブサイク・音痴だって歌えちゃう
スッゲー敷居低い歌唱法
ちょうど俺が生きた証拠
ただし時に採算度外視までして
イカ臭いサウンド配信
モテ度低下→燃やす闘志
俺に言わせりゃモロ安い投資
当てにならねえビジネス・センスよりか
ビシッと先示すぜ
俺の勘当たってんじゃん実際
埋めてやっか あのベンチャーの失敗


ずっと語られる日本語ラップは音楽なのか。。
てか楽器もなく、レコードとマイクのみ。
見る人からすれば、素人同然のスタイルで音楽として飯を食う。
素晴らしい音楽史のパラサイト
ヒップホップはまだくたばらない
俺の時代が終わっても
このブームが去って
この歌詞通り、RHYMESTERに心躍らせた時代が
新しいムーブメントを呼び、くたばりませんでした。


ラクしてモテたい奴に朗報!
願ってもないチャンス
ブサイク・音痴だって歌えちゃう
スッゲー敷居低い歌唱法
詳しい音楽の知識なんて必要なく
日本に根付いていなかっただけのラップ。
それを根付かせた偉大な先人。
タイトル通り、グレートアマチュアな先輩です。

この曲でDJ JINのところだけ嫌いだったなぁ。笑
餓鬼レンジャーキングギドラもそうだったけど、めっちゃ歌うDJ時代がありました。
(そういやマイクを持つDJみたいな、恐ろしいアルバムか曲あったな)


奇をてらうトラックもなく、
分かりやすい歌詞
ビートへ素直にアプローチした本作は
日本語ラップの基盤として必要な作品です。


日本語ラップオタク

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