BES/CONVECTIONについて(2021/3/26)

「ペン先のエンジンはもう温まった。」



個別にアルバムのレビューをするのは、久しぶりですが、
「BES/CONVECTION」について書こうと思います。



このアルバムは、別所くんBESのやっとこさの復帰作です。



BESの歴史を、作品で大まかに振り返ると
2006年、「SCARS/THE ALBUM」にて鮮烈なデビューを飾り、




以降相田くんI-DeAのプロデュースを受けます。

「BES/評決のとき」こと「I-DeA/One Day feat.BES」という日本語ラップ近代史必須暗記単語がここで出てきます。
1回目は、フローで楽しみ、
2回目は、ストーリー性を噛み締めながら、聞くと2度美味しい曲です。




客演等の勢いをそのままに、荒々しいリリックの中にもセンセーショナルなフローでアルバムをSwanky Swipe名義で投下した「Bunks Marmalade」。

勘ぐりまくりでありながらも、ストリートの言葉と圧倒的な表現力で
極限状態の心境を綴ったBES名義の「Rebuild」(2008年)で一旦終了です。



逮捕、薬物に溺れ、一般人は、BESの消息をSEEDAのブログでしか知ることができませんでした。(お正月会いに行ってた)
最初で最後の”BESのラップ”は、2006年〜2008年の一瞬の輝きでしたが
圧倒的なカリスマ性で、日本語ラップを楽曲・MCバトルに問わず、大いに盛り上げ、影響を与えました。

メシア THE フライの「No More Comics feat.BES」(2010年)は、
既に逮捕(2009年)されていたBESの過去のラップバースを使ったとどこかで聞いたので
私の中で、最後の”BESのラップ”は、この曲だと勝手に整理しています。

https://www.nicovideo.jp/watch/nm13036226

2009年の逮捕直前のBESは、ガリガリで、持ち前の声も失っており、明らかに正気じゃない様子がB-BOY PARKで確認できました。

2008年の全盛期の BESだと無駄に威圧することなく礼儀正しく、最強です。
体格だけでなく、ラップのキレの違いは、顕著でした。



復帰作としてmix CDやアルバムをリリースしたりと、じわじわと復帰しますが
中々、以前の輝きを取り戻せずが続きました。

本当の BES好きの方は、楽しめるのかもしれないですが、
僕はお世辞にも良いとは思えなかったし
過去のBESの衝撃から抜け出せずにいました。
だらだらとした似た緊張感が続き、曲のメリハリがなく、
ラップのキレもイマイチに感じました。



そんな中、ISSUGIをタックを組んで
今も続くアルバムのシリーズがリリースされました。

トラップが時流な時、とびきり上質なBoombapな16flipのトラックに
「ラップが上手いのが正義」と言わずともラップだけで語るフローの持ち主の二人の合作でした。

初期のBESの衝撃は超えないものの、これはこれで渋くて最高だな。
というのが感想で、聞いてしまっては最後。
何度も永遠に聴いてしまう作品でした。




そして、BESの個人名義のEPを同年(2018年)リリースするのです。
「BES/CONVECTION」これが本当の復帰作と、僕は勝手に考えてます。

だって、もう過去のBESと一味違うんです。
過去に引きずられることのない心機一転のリリックの内容、フロー、そしてトラック。
別人は言い過ぎでも、ISSUGIとの合作ともかなりの変わりようでした。


この作品こそ、BES好きにとってどう映るのか、様々な意見がありそうと思うのですが
ぼくは、”アリ”な作品です。

“BESのラップ”は永遠に第一線で活躍すると2006年の僕たちは思いましたが
実は、賞味期限の短い、伊藤智仁のような才子多病なラッパーでした。

しかし、引退することなく、
ペン先にエンジンがかかる限り
豪速球もキレのあるスライダーを失っても
形を変え、ラップを聞かせてくれます。

なんとも、そんなことを感じる、試行錯誤のすえの作品に感じました。



「Rhyme Train」

ごちゃ混ぜの街を蹴っ飛ばすブーツ
仏とJAHが握手したROOTS
行動 言動 全てがルーズ
バカ まぬけ アホ達からのブルース
チャックのケツ追っかけるようなフロー
膝にくるライム 言葉のボディブロー
一回吸ってみ 鼻からBLOW
忍び寄る影はジャンキーかPO
遊びのHUSTLING 止めとけBITCH
時間があるなら磨けよスキル
You from ケツの穴 batty boy bitch
多いよrichでもスキルないビッチ
各駅停車 途中下車無効
誰が落ちて誰が這い上がる
ルールなしのゲーム 心臓に悪いぞ
この手の中のマイク これにかけるよ

やり残しなしで行くぜマイペース
きっと人生はチキチキレース
ケンタのチキンは骨つきです
癒しのベイビー骨抜きです

とにかく、、hokutoの若者向けのトラックに
とにかく、フリースタイルをした感じです。
まずは、一曲ずつ作ってみて、作品になった!!
ってん感じなので、「コンセプトはねぇ!!!」です。

でもですよ!!BESは残り少ないキャリアで、必死に作品残したんです。

「やり残し無しで行くぜマイペース」






「デジャヴ」


あーまた見たデジャヴ
確か間違えた即パクられるはず
冷静に考え地下鉄に乗る
記憶を辿り記録に残す
絶望欲望希望 ペンで書く
盲目の朗読じゃいけないと書く
偽善者はいつも正論をはく
聞き流してまた煙を吐く
奥沢5丁目から始まった
BUDZをMONEYに変えてくGAME
現実はそんなに甘くないから
何回転けたかわかりません
今は片手間、ラップのおかげ
全てのハスラーに栄光あれ
複製画根を張り育つオリジナル
言葉遊びの俺はクリミナル

俺の人生左右するデジャヴ
上手くかわせずにドツボに落ちる
俺の人生左右するデジャヴ
上手くかわして次へと進む




Lil’s Yukichiのトラックで過去のBESを彷彿とさせるテーマでありながら
ちゃんと、現在の視点からのリリックでかなり冷静かつ厳しさを書いてます。

「現実はそんなに甘くないから」

BESは、そんな事言いながらも、同業者を暖かく応援します。
やっぱ、BESは、全部正しい!!

なお、どこかのインタビューでBESが言っていたんですが
下記のラインは、

「絶望欲望希望 ペンで書く 盲目の朗読」

偽装工作でのT.A.K THE RHYME HEADにインスパイアされたラインだそうです。

「道徳失った盲目が貪欲に計算する損得」

やっぱ、BESの声質は、天性のものがあると思うんですが
フローは努力と研究の証ですし、「Bunks Marmalade」から「rebuild」のリリックの飛躍を見るに、かなり緻密な計算派であることを感じていました。
そういうところを思うと、BESがRHYME HEAD好きというのも納得も納得です。







「人生は甘くないから feat NORIKIYO, STICKY」

身を以て知る黒い手錠の重さ
浮き沈みの交差 涙とスマイル
身を以て知る黒い手錠の重さ
浮き沈みの交差 涙とスマイル

あの日俺は闊歩できず裏通り
すり抜けるか鉄格子のふた通り
小分けにして暴利 もういい
言うなれば一つだけ うまくやれBOYS
転けてできた傷も今日全部勝て
言えりゃカッコもつくが全部じゃね
って本音言って誰のためになる
この様 責任ってのは我になる
でめぇではいた唾 その先っていうのは
巡り巡って着地 このつら
それがカルマってやつじゃ
今からはせめてましにって思う
今ただ欲す幸せっていのは
今だけじゃねもんがいい
脇の脇皆まで 言えばさ
嘘癖かも仕方ねぇがこうしねえと神様に睨まれる

隙を見せれば崩れる関係
あの世界にだちなんていねぇ
うまく言ってるときだけ
仲間の顔して隣で笑ってる
誰が助けてくれる
ピンチにあればすぐにわかる
貸し借りはなしで助け合う
人で乗り切る準備もしとく
期待して涙を流してる
失敗して知恵をつける
計画してプランをたてる
浮き沈みを繰り返ししてる
見たことない景色も見たい
冴えない毎日ならグッバイ
薄ら笑い 目は笑ってない
ここにラブなんてない



前曲に続いて、これも懺悔です。
そして馴染みのI-DeAのトラックで、かなりと言っていいほど
耳の馴染みがいいです。イントロからしっくりきます。

「自分も40をむかえて歳も歳ですし、大事にしたい人もいますし、生活が幸せになるような地盤作りじゃないですけど、そういう方向に向かえばいいなって思います」

色々経験して、最終的に、人生を踏まえた上で
後悔と懺悔です。SCARSは、みんな懺悔するんですかね。

「身を以て知る黒い手錠の重さ
浮き沈みの交差 涙とスマイル」




なお、STICKYは本当の最後の最後まで、”STICKY”です。





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