L-VOKAL/Lovin’について(2018/5/12)

こんにちは

ヒップホップグループで勢いのある大所帯のグループ減ったなぁと思ってたら
最近増えてきました。
KANDY TOWN(16人)にkiLLa(9人)BAD HOP(8人)とか、、
YEN TOWNは厳密には3人なのかな。。)

やっぱり日本語ラップの独特な文化であるマイクリレーが
4人とか3人では味気ないし、NMUのように8人くらいステージ上でぞろぞろしていてほしい。
1曲で5分以上はラップしてほしいし、1人のラップを3人くらいでかぶせてほしいし
ステージ上で何回もヒップホップ握手をしてほしい。笑

大所帯グループの中で圧倒的にKANDY TOWNがブランディングが出来ていると思う。
IOを筆頭にくそオシャレな日本語ラップ(あくまでゴリゴリの日本語ラップ)に
トラックも超一流トラックメーカー、CDの歌詞・クレジットはなし、レーベルもOKAMOTO’S、
服もスタイルも立ち振る舞いも最高。

2~3年前くらいに一人で代官山UNITでKANDY TOWNのパーティーに寄ったことがあります。
まだ人はスカスカだったけど、ステージ上に大勢のラッパーが上がって
ラップしてないラッパーはタバコは吸うし、酒は飲むし、ヒップホップダンス?(ステップ?)はするわ
だらだら感が日本語ラップ感でした。
今ではそんな彼らの限定のCDは高値で売買される。
そんなラッパーにふさわしい貴重なグループになっていると思います。


話は本題に。
当時、バカ高い価格で廃盤となったアルバムが売買されいるラッパーがいる。
L-VOKALです。

当時『L-VOKAL/Laughin’

LAUGHIN' (再発)
L-VOKAL
MATENRO RECORDS
2010-03-03



L-VOKAL/麻天楼』はバカ売れしました。

麻天楼
L-VOKAL&DOC-DEE
MATENRO RECORDS
2007-05-16



客演の豪華さもさることながら、L-VOKAL自身のラップの面白さも目立った為ではないでしょうか。
特段上手いわけではなく、淡々としたフローでしたが
そのリリックが外国人特有の比喩と視点が盛り込まれており
おおウケしました。

L-VOKAL自体はハーフでしたが、学生時代はアメリカで過ごし
Mummy-D、m-flo、Bach Logic、SEEDA、I-DeA、Def Tech、KREVAといった面々と交流を持ち、
客演を果たしています。

決してアングラに突出しているわけではなく、幅広い交友関係。
当時爆発的に盛り上がっていたラッパーやトラックメーカーとの親交の深さが
L-VOKALのキャリアの背中を後押しをしました。


そして、このアルバムについてコメントをしたいです。
L-VOKAL/Lovin’

Lovin'
L-VOKAL
MATENRO RECORDS
2010-03-03



外国人、外から見た「日本の滑稽さ・ダサさ」をL-VOKALなりの愛を持ってラップしています。
常にリリックを聴かせるラップで、飽きさせない視点を武器にした新鮮なラッパーでした。

2010年に発売された日本語ラップのアルバムの
中で
(私にとって)最もよかったアルバムです。(ズバリ1位)


このアルバムはセカンド。ファーストは上記で述べた『L-VOKAL/Laughin’』。
表では愛をもって日本のことをラップしていますが、心の奥底では
L-VOKALは嘲笑ってる茶目っ気があります。

このアルバムではSEEDA、VERBAL、KREVA、MEGA-G、K DUB SHINE
の豪華客演となっており
L-VOKALにしかできないアルバムを作っています。(SEEDAなんてVERBALと当時BEEFしてたし)

もともとトラックに拘り、聴きやすさを重視していましたが
本作では今まで以上にリリックに重点が置かれてる気がします。

「Made In Japan」

鉄砲持っても撃てないソルジャー
何事にも一言目に感謝
勝っても相手を敬う勝者
日本の心は平和の模写

見て分かることは口にしない
あるじゃん日本のいい塩梅
当たりそうなら傘を傾げ
ぶつかりそうなら肩を引き
細かな仕草に見つけるピース
やっぱ日本には合わないBEEF

世界に誇れる憲法平和
小さな親切大きなお世話
いただけない押しつけだけは
でも忘れるな、日本の和

日本の技術は最高峰
打たれたから持たない核
おれらの生活超贅沢
器でかく、腕は別格
世界の手本、日本の品格


ラップを聴かなくても、リリックを呼んだだけでワードセンスが抜群ですよね。
最近テレビ番組に多い脳みそつるつる系の「日本の技術最高!日本の伝統文化!日本大好き!」
みたいな安っぽい愛国心を煽る番組の5,000倍、自国に向き合えます。
愛のあるL-VOKALより警告です。
誉めたバースなのかな?と聴いた次には皮肉なワードが飛ばされます。

打たれたから持たない核
おれらの生活超贅沢
器でかく、腕は別格
世界の手本、日本の品格


「Pekochang」

実るほど頭の下がる稲穂かな 今の子にこの言葉の意味分かるかな?
オレは年々頭を下げる回数が増えた それって実ってきたって証拠かな?
別に好きで下げてんじゃねえよ、勘違いすんな 重力の問題に人は逆らえないから
だから下がらないヤツはまだ頭が空 老いても気付かないヤツは逆さなカバ
稲穂に必要なのは水と土と太陽 水は得る経験で土は個々の環境
あとの太陽は…自分で考えろ 何でも人に答えを求めてんじゃないよ

あなたはどなたのペコちゃん オレは怖い人にペコちゃん
怖い人も、その上の、さらに怖い人達にはペコちゃん
深々とペコちゃん 形だけのペコちゃん
クリスマスでもバースデーでもないのに年中無休のペコちゃん
平は上司にペコちゃん 上司は女房にペコちゃん
韓流にハマってる女房は味噌よりコチュジャン
どいつもこいつもペコちゃんすんなら 最初から下げっぱなしでいいじゃん

ハロー きまずい換気扇 ペコちゃんラップ やっていけません
思いたい事と反対なほど 苦しい音 と書いて 音苦 (マジ)耳栓
俺をBEEFキャラにしたてたい奴等 言葉 歌 1から ジシン がないから
政治力 圧力 的 活動 ペコちゃんとはロビー運動
CN 聴いて KID’S RETURN 何歳になっても 俺はforever youg ホーミー
音楽のみ BARS & VIBES のみ 誇り u konw me? あとは構わんのに
日常生活や音楽以外の仕事でペコちゃん は気にしない 相手がいい方がいい
強いて言えば 金じゃん 生きる事が先じゃん
ペコちゃん的心は 怖い人にボコちゃん I don’t need no ヘーマちゃん


この曲のSEEDAは2010年でベストのラップだったかもしれません。
キレッキレです。
もうフローもリリックもバッチバチにトラックにハメていきます。
高速フローとか変則フローとかメローなフローではありません。
SEEDAが変則なビートと遊んでるかのようなラップです。

L-VOKALの「別に好きで下げてんじゃねえよ、勘違いすんな 重力の問題に人は逆らえないから
だから下がらないヤツはまだ頭が空 老いても気付かないヤツは逆さなカバ
」はとても面白いバースです。

日本人が無意識によく「ごめんなさい」と謝ってしまうことを
不二家の「ペコちゃん」(=ぺこっと頭を下げる)とかけて表現しています。
そんな形式上の動作に合理性がないことを感じるL-VOKALならではの感性です。


高値で売買されるプレミアムなアルバムを作った傍ら
一瞬メジャーデビューしたり

ケペラギをリリースしたりと面白いワークはありました。


しかし何故か引退してしまいます。
L-VOKALがシーンから離れている間、MIYACHIなど
面白い逆輸入ラッパーも登場しました。
トラップも流行したりと、、復帰しても今の日本語ラップシーンで活躍できるか不安です。
そんな切ない出来事もありつつですが、
本作自体は傑作でした。

イントロでラモス瑠偉が
愛がなかったら負け!
ってシャウトするんです。

言葉通り、本作はL-VOKALの(日本、日本語ラップへの)愛がこもった作品でした。

日本語ラップオタク

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