BES from SWANKY SWIPE/REBUILDについて(2018/4/11)

こんにちは
 
BAD HOPが弱冠22歳でZepp Tokyoでワンマンをやりました。
個人的に彼らの音楽は2曲ほどしか聞いたことありませんが、
偉業を成し遂げたことはわかります。
凄いですよね。これは完全に熱狂です。
 
「日本語ラップ=ヤンキー・不良の音楽」
とコンセプトを持ち出したのは、ZEEBRAだと思います。
 
もともと、いとうせいこうのような知識人が持ってきた海外のヒップホップの文学的な要素を
分かりやすくて、咀嚼したのがZEEBRAだったんだと思うんです。
 
ZEEBRAが音楽のカルチャーとして、日本の不良たちに広め、
THA BLUE HERBが否定して、日本人のヒップホップをもっと高尚な音楽を高めました。
不良への門戸を閉じ、ハスラーの音楽として持ち出す輩を完全否定し、
シーンをある程度狭めるとさえ提案しました。
 
そして今の日本語ラップはポエトリーとギャングスタラップ、チル系・サブカルチャーなど
様々なスタイルがあると思います。
 
 
BAD HOPは以前否定されたスタイルで勝負に出ました。
「日本語ラップはやっぱり不良の音楽なんだ。」
 
パンチラインが「川崎で有名になりたきゃ、人を殺すかラッパーになるか」。
いや時代錯誤がすごいです。
まじでこのご時世、これを受け容れられる社会の琴線が凄いです。
私はあんまり聴かないので、ZEEBRAの「不良の音楽」と
BAD HOPの「不良の音楽」の違いが明確に理解できていませんが、時代の流行は回帰しますね。
ZEEBRAプロデュースなんでしょうし、当たり前なんでしょうけど)
 
 
ANARCHY以来のがっつりヒップホップ。
最高なご時世です。
 
 
上記のギャングスタラップとは一味違うラッパーBESを続けて書きたく思います。
BES from SWANKY SWIPE/REBUILD
REBUILD
BES from SWANKY SWIPE
Pヴァイン・レコード
2008-09-19



BESのフリースタイルに
韻が硬い・フロー・バイブス・パンチラインが凄い!
なんて陳腐な誉め言葉は不必要です。
とにかくラップがずっと上手い。
UMB2007の時はめちゃくちゃスキルフルで内容なんて聴こえてなくても
「判定はBES!」みたい感じでした。
 
ただ2007年以降、様子がおかしい。
なんだか、呂律も、、、言葉に詰まるし、、、ビートの乗り方が、、、
2009年なんかB-BOY PARKでは痩せこけたBESの姿が印象的です。
確かKEN THE 390に「酒やけみたい」とラップ自体もディスられていました。
2009年9月のB-BOY PARKを出場の後、服役です。
 

そうなんです。前回のアルバム「
BES from SWANKY SWIPE/Bunks Marmalade
は発売が2006年11月でバリバリに脂がのっている時期ですが

 

ボンクス・マーマレイド
SWANKY SWIPE
Pヴァインレコード
2006-11-29

 

BES from SWANKY SWIPE/REBUILDは2008年9月です。

徐々にBESは蝕まれていき、逮捕される緊張感の中
楽曲・アルバム制作に取り掛かります。
 
服役しているころ、BESとの共演作は多々リリースされましたが
服役前のBESの録音されたバースを使っているそうです。
例えば「メシア THE フライ/ No More Comics feat. BES (SWANKY SWIPE)」は
このトラック・コンセプトが決まる前に蹴った録音されたバースとのことです。
マイケルジャクソンとかも死して尚、新曲出ましたから
それだけBESのラップには価値がありました。
 
前回作との違いはリリックです。
比喩表現を多彩に使い、前回作よりも内容は面白くなっています。
 
疾走感とフローと人間離れしたリズム感を抑え気味にした代わりに
かなりリリックに力を入れられています。
単純に危ない言葉ばかりを並べるギャングスタではないです。
リリックが面白い点に加え、もう弱りかけているBESの自虐性です。

 

 

後にNORIKIYOは最新作で下記のように本アルバムを評価しています。
アレはクラシック『REBUILD』『花と雨』 今もMONJUに伸びかけた鼻折られる。

 

「The Process」
一度やったFlowで決めつけんなファン 
Feelしたラッパーなら信じればFun 
上だの下だの金額の違い 
大人の階段登るそれだけさ 
その目動き日々Propsに結果 
格や学の違いなら見える 
増える理想現実との違い 
でも噛み締める納得 明日なら見える 
いつからか空の逆を眺め歩いた 
気付けば背中、曲線描いた
 
余計なアクシデントばかり 
仲間といけるこの街のStory 
I’m Sorry でも、またそうHustling 
Dealerのカスリ 割のいいチャリ 
汚れたこの手に痛い愛と金 
カット・ケタ・ハメ・スカッフ Oh Money 
遠い海のアメリカ グロック無しか東京? 
2度
と汚すな次は帰れねぇ
 
SEEDAが絶賛するほどの比喩表現でした。
私は個人的には「いつからか空の逆を眺め歩いた 気付けば背中、曲線描いた」は面白いと思いました。
要は猫背のことをラップしていますが、こんな詩を描くなんて最高です。

 

「On a Sunday」
不安を抱え訴えたあの子は
見過ごしたストレス 涙の重さ
はした金の為に消えた信用
自らにドツボ無駄な緊張 気づけば近所に知らない車
インターフォン越し 咲いた花は散った
外の見えない窓 姿探した 便箋に落ちる涙インク滲んだ
何度寝れない夜を過ごした だらしない男 a.k.a.パパ

俺にとって最後の My Love
金も信用ねえが嘘のないLove
許されるなら抱きよせるこの腕に
何を語れど街角に消える
俺にとって最後の My Love
届くかな? 遠い遠い空の下
許されるなら抱きしめるこの胸に
今の俺に幸せなど不釣り合い
 
前作には絶対ない曲です。
本作ではBESの多面性を表現しました。

 

「How How High feat.メシアThe Fly」

 

ジャンキーポエトリー わざと作るパズルただのズルでフール 
粉雪を散らしたフルーツやらかす、やわらかく欲と罰のジュース 
飲みすぎ、警告ゆるくなるシューズ 
自己満、矛先間違えてルーズ 時を待つより行動、無理 逃げるバカ 
耳がツブれるほど戒め消えないLIFE それでもつたない 夢見てるバカ 
韻とか品とか母音でツバ吐く1つ2つ散らす紫のバッツ 
oneday 繁華街 坂沿いのガードレール 不夜城 相手の素性すら不明

頼むよ MY MEN 余裕、任せろよ 
緑の霧 また粉雪が舞う むせ返る 
この街中で赤く光る はき捨てる紫のバース
 
一方、この歌はスキルに全振り。
リリックも脳にこびり付きます。
まさにジャンキーが作るポエトリーです。

 

このアルバムは傑作中の傑作。
Rebuild Feat. 漢もほんとうによかった。
ただ残念ながらBESは2009年に拘束されて2011年に出てき
2014年6月15日に再度拘束されてから2016年の4月15日までずっと拘束されていまし
た。
その間に、SEEDANORIKIYOはLIQUID ROOMを余裕でパンパンにしました。
 
なんとも悲しい現実です。
何もなければBESSEEDA、NORIKIYOと同じぐらいフルアルバムをリリースし、大きな箱を埋め尽くし、日本を代表するラッパーとして君臨していたと思います。
 
今もなおラップをしていますし、スキルも健在ですが
何かモヤモヤせずにはいられない。。。。
特にこのアルバムを聴いていると、このアルバムからどんな展開があったんだろうと思い馳せてしまいます。

日本語ラップオタク

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BES from SWANKY SWIPE/REBUILDについて(2018/4/11)” に対して2件のコメントがあります。

  1. きりー より:

    カット ケタ ハメってなんなんですかね?
    ケタはケタミンかなーとは思うのですが。
    ニート東京でヘロインのことペーって言ってたり、
    業界用語がよくわかりませんw

  2. 日本語ラップオタク より:

    きりーさん
    いや、仰る通りなんですよ!笑
    そこらへんはSCARSあたりのコミュニティのスラングかもしれませんよね。。
    私はカットはリストカットだと憶測してました。
    ハメってなんでしょうね。。答えを持っておらず、申し訳ないです。
    よくスラングでラップするSD JUNKSTAもかっこいいですよね!

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