昭和レコード/MAXについて(2018/5/15)

こんにちは

先日、初めて凱旋MCバトルに出場しました。
結果から言うと惨敗、UMB東京予選以来のトラウマの再来でした。
(若さが)怖かったです。みんな上手かったですね。
トラックの乗り方がキマってましたし、キャラクターも個々ありました。

僕ももっとラップ自体をうまくしないといけないと危機感を感じた1日でした。



本題はこのアルバム
昭和レコード/MAX
MAX
般若 x ZORN x SHINGO★西成
昭和レコード
2018-04-29


昭和レコードは般若、SHINGO☆西成、ZORNが所属しているレーベルで、かなり実直勝りな今では珍しいレーベルです。
個人的に般若は妄走族より、
こっちの方が良かったと思うんですよね。

般若一人のカリスマ性だけでは、あの鳴かず飛ばずの不良だけが取り柄のグループは保てないし、
2014年の脱退・2015年の解散は見るも無残でした。

一方、Libra・MSCから引っ張てきたSHINGO☆西成
シンプルにラップもうまく、般若の精神性にもマッチ。
稀にみるベストマッチな組み合わせでした。

そして第三の男として(元祖は童子-Tですが笑)ZORNが加入。
当初は見事にZONE THE DARKNESSの内省的な哲学を感じるリリシズムを殺していましたが、
結婚・子どもといったイベントを機にがっつり軌道修正。
見事に昭和レコードに馴染んだラッパーです。


般若個人のアルバムが良いか悪いかは議論しませんが
般若はずっと同じような内容とラップが続いており、
アルバムごとのトラックメーカーが流行りか否かぐらいでしか見分けがつきません。
般若/内部告発
内部告発
般若
エイベックス・ピクチャーズ
2006-02-22

般若/ドクタートーキョー
ドクタートーキョー
般若
昭和レコード
2008-07-23


とか今までの(シーンに)ない曲が多いなぁ、新鮮だなと衝撃を感じる一面もありましたが、
般若/根こそぎ』のように一枚纏めて聴こうと思えないものも多くなりました。
根こそぎ (CCCD)
般若
ポニーキャニオン
2005-02-16



般若は「勢いのある若手期」を抜けてしまった今
先輩の名前を出して噛みつくことも出来ません。
そこで2人を引き連れて、昭和レコードとしてアルバムをリリースするのはとても素晴らしい展開でした。


この作品は端的に申し上げるとめちゃくちゃ良かったです。
3人各々がHOOKを歌い、各々の個性がばっちり各曲に反映されている。
SHINGO☆西成・ZORNの尖った性格が反映された
「WTF」(ZORNのフック)「ILL FUNK」(SHINGO☆西成のフック)なんかは最高でした。

ZORN
WTF てかやっぱギャグ 俺ら尖まくり 丸まっちゃいな
これは着火剤 すぐに暖まる 言わなきゃわかんねろような
馬鹿ばっかじゃん。

癖が強いSHINGO☆西成の出だしのバース
誰かのせいとか言うな!カス! おいっ!知ったかぶんな!
チキン、ブタ、ミミズが猫被んな!
なんてめっちゃ痺れます。



「いいね」では、この3人が流行りのトラックにふざけながらも?ラップしている様子は面白かったです。
特にSHINGO☆西成節がこの曲にいいキレを与えています。
いいね、いいね 何を言われてもいいね テロとか虐待とか同じ目にあって死ね
イッちゃっていいね もうやさぐれてる 捻くれてる スレてるやつ 拗ねてる数増えてるカスです
昭和もリーク パナマ文書 悔しいもん 虚しいもん
ピラミッド逆さにしてグルン 不可侵条約みたいなもん



般若が主催するレーベルだからこそ、このアルバムは生まれたと思います。
本作は良い意味でで般若のアルバムの延長線上の作品でした。
(一方、SHINGO☆西成が次にアルバムの方針の舵をとれば、
違う面白い作品になるのではと思いました。)

ZORNは今の時点で遠慮しちゃってる気がするんで
もっとポエトリーだったり、フローとかでZORNらしく遊んでもらいたいと思います。
般若の2世のようにリリックを無理に熱くさせることもないと思います。


「HUNGRY」

おれはハングリー たまにアングリー
皮肉たっぷり まるでバンクシー
ヘルメットから金のかんむり
吉野家の牛丼からウルフギャングに
遠慮無用てか制御不能
ぬるま湯なら追い炊き熱湯風呂
サラダバーには並ばない
肉食系ガッツリTボーンステーキ
納得しても満足しない
自分がハードルみたい
過去よりダントツ今が自己ベスト
でも成功と失敗は2個セット
初心のまま調子乗らない
ピュア過ぎて逆に狂気の沙汰
当時のギャラは雀の涙
それでもあったよ続ける価値が
寝ても覚めてもてめえの人生
二児のパパでも攻めの姿勢
防戦のり挑戦のみ
外野はどうでもいい

といってもZORNのリリックは3人の中では抜きんでてます。
単純に韻を踏むわけではなく、対比の構造をバランスよく作ってます。
「バンクシー」で「ヘルメット(さえない仕事)から金の冠(=ラップスター)」
「吉野家の牛丼(=さえない生活)からウルフギャングに(=ラップスター)」
最小限の言葉数でタイトに韻を踏むことで、ストーリーを生み出しています。

ZORNの韻は精密機械のように人の心を確実に逃しません。
過去よりダントツ今が自己ベスト でも成功と失敗は2個セット


「ヤメラレナイ」
右に左動くお尻チラ見よりもガン見したい 冷めたピザの端は硬い
やめないのも意思が固い

リスナーは中途半端にふざけた般若は求めてません。
SHINGO☆西成のように、フッと笑わせる力強いパンチのあるラインが求めているんだと思います。


この3人は毎年ツアーしていますし、生で観るべきラッパーだと思います。
圧倒的にラップが上手いパフォーマンスは一見の価値ありです。
そして般若の威厳をそこで拝見することができます。
なるほど、この人でしか集めれないグループだなと納得してしまう一面があります。
日本語ラップシーンから一定のリスペクトがあるであろう般若でしか作り上げれないものだと感じます。

幾度と般若を批判しかけましたが、
最後の一文でご容赦してほしく思います。


そう言えば、このアルバムのトラックメーカーにBUZZER BEATSが参加しており、
BUZZER BEATS好きの自分を思い出した回顧的なアルバムにもなりました。

日本語ラップオタク

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