日本語ラップのMVについて(2022/4/16)
お気に入りMVをだらだらと共有するまでに、まずは能書きを語らせてください。
MVの意義
もちろん、楽曲が重要です。
ただ、総合的に曲の評価や印象づけるものとして後日談・文脈(「SEEDA/栽培マン」「SEEDA/道(23区)feat MC漢」など)のほか、MVも重要な要素になってきました。
CD全盛期の時代は、当然のようにリード曲は、シングルカット・もしくは先行してMVがリリースされ
のちにリリースされるだろうアルバムの期待値を爆上げさせました。その期待値が、アルバム販売枚数の初動につながりました。
しかし、今や、配信・サブスク全盛期のため、初動の重要性はやや希薄し、内容が良ければ、時間軸にかかわらず再生される仕組みになっています。
サブスクでの再生数を配信時から将来にわたって持続的に稼ぐため、MVのリリースよりも、サブスクでのアルバム配信が先行するケースが最近では主流のように思います。
例えば、MC TYSONなんかは、アルバムの配信後に、ずるずるとMVを一曲ずつ配信する手法を取っています。図体はでかいですが、やることはキメ細かい仕事っぷりです。
0から1の産みの苦しさ(=作曲・作詞作業)と1から100にする大変さ(=MV・ライブ・PR活動)という区別ができます。
KEIJUなんかは、アルバムの配信(2020年7月29日)から、かなり経過してから、最新のMVをリリース(2022 年3月16日)します。SEEDAの花と雨でいえば、14年の時を経て、MVが作られました。
MVを観ることによって、既存曲を、より新鮮に・曲の世界観により具体的に入り込める効果があるので、
MVを独立した作品とまでは、思いません。
MVの重要度は、年々増しており、配信・サブスクが主流になり、オンラインチケットが定着した(=相対的に現場の価値は下がり、現場に足を運ぶのが相対的に減った)今、作品の価値を構成する要素として、非常に重要です(現場の重要性は、絶対的です)。
MVが良ければ、自ずと、既存曲は、さらに再生しますからね。今や、CDが何枚売れたか・手売りで何枚さばいたという価値基準は、遥か昔、明治・大正・昭和(正しくは平成)の時代の話です。
サブスクで、何回再生されたかという(Spotifyだと特に)透明性が高い、新しい価値基準があります。
ここまで、曲を構成する1要素として、MVが占める比重が高まっているということを説明しました。
なお、MVとは異なる要素のオンラインライブですが、先日の徳利のオンラインライブは、凄すぎて、失禁・腰抜かしました。新しい表現の場(=サブスクの再生数を増やす機会)が増えたとも思いました。
MVの種類
自己の癖が強すぎるKREVAは、作るトラックに「KREVAっぽさ」があるのはご存知のとおりで、MVも癖が強いです。
「これどこ??」っていう白を基調にした無機質な空間のMVが得意な気がします。
ぼくはこれを「クレバMV」と呼んでます(ひねりなし)。
一番苦手なのが、「茶番MV」です。
あと「ホームパーティ系MV」
「コンテナの前でラップMV」
最後に、「ボクシングMV」
など、種々様々。良いMVでは、大体みんなラップしてるんで、ぜひラップしてほしい。
好きなMV
じゃあ、お前は、どんなMVが好きなんだよ。と。
「KANDY TOWN/GET LIGHT」
整理されたわちゃわちゃ具合。まず1番目にこれ。御洒落すぎる。これが東京。これが和光。





かっこいいMVで、曲の意義を爆上げ、ついでにReebokの宣伝までカマす。基本的にKANDY TOWNのMVは、大好きです。もう本当に、最高です。ありがとうございます。
NITROから肯定されるHIP HOPによる、HIP HOPのための「わちゃわちゃ」。 MVは、「わちゃわちゃ」であればあるほど良いんです。これだけは、絶対解です。
「SD JUNKSTA/M&N ORIGINAL B.B.CAP CM pt.2」
僕は、「わちゃわちゃ」と「CMソング」に弱いことを、書きながら気づきました。
何と言っても、このトラックもあいまって、溢れるヤサグレ感。




これらのMVを見て、Reebokのポンプフューリーと NEW ERAを購入してしまっております。ありがとうございます。
「BONG BROS/B.B ANTHEM」
京都の雄。BONG BROS。この曲とMVの雰囲気は、完璧一致。これぞ、って感じ。
「大阪と京都の違いは?」って聞かれたら、これ見せたら一発で理解できる一品。
しかも、このMVを見たら、京都の繁華街のどこに行けば良いかわかるし、観光案内にもなる。
音楽・美術・社会の教科書に載せた方がいい。



「SHINGO☆西成 /ILL西成BLUES -GEEK REMIX
今はYOU TUBEで西成の様子をよく見れますが、この頃は、カメラを向けようもんなら。。。。。
本当に、軽はずみに踏み入れてはいけないような、緊張感があふれる街の様子を
誇らしげに写し、ラップしているこのMV。
まじで、歴史的資料すぎます。本当の意味でカマしすぎています。
街がSHINGO☆西成を信頼し、SHINGO☆西成が街を信頼している証拠です。






阪神淡路大震災を通じて、福祉の重要性を理解したSHINGO☆西成は、EASTAと同じ天理大学卒業、社会福祉施設に就職。のちにラッパーです。
まじで、これ以上、コンシャスなラッパーはいませんし、本物です。
MC漢の誘いで、Libra。ファーストアルバムの「Sprout」が評価され、一発でKREVAの客演。般若の誘いに応じて、昭和レコード。
未だ、現役。そしてその原点にふさわしい、このMV。良すぎます。
KEIJU /Hold You Down feat. MUD
また、KANDYで申し訳ない。なんなら、好きなMV、TOP10にすれば、そのうちの5位は、KANDYで埋まるかもしれない。
このMVのいいところは、カマしすぎちゃうところです。


KEIJU「横でタバコ吸っといて」Holly Q「わかった」





なぜにトラを置こうとしたのか。なぜにトラを置く必要があったのか。こればかりは、謎です。

このKEIJUのカマし方(他に、ゴルフの打ちっ放し場を貸し切ったり、IOにハンバーガーだけ食べさせる演出をさせたり)。結果的に、KANDYのみんなは普段通りのつもりだけど、みんな驚くから。。
ラップだけで勝負していないことになる、KANDY TOWNの良さ。ありがとうございます。
「Mall Boyz (Tohji, gummyboy) /Higher 」
最後です。バチバチに気合が入りまくったTohjiを見て、終わります。
本当にこのMVは、大好きです。毎日、毎朝見てます。








以上、僕が大好きすぎるMV集でした。
日本語ラップオタクブログ