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お茶のこさいさい feat. VACONについて(2020/8/7)

投稿日:

洋平です。
VACONと言えばネットラップ界隈で知らないものはいない程の実力折り紙付きのラッパーであり、卓越なフロウと追随を許さないワードセンスでその他ラッパーとは一線も二線も画している。私がVACONを知ったのはあの超有名曲「HATED JOHN」であり(これがデビュー曲というのが更に驚き)、その後の動向も欠かさずチェックしていた。個人的には80’s soundをフィーチャーした「Afro Man」には、日本歌謡の系譜を感じるので一度聞いた時に衝撃を受けた思い出がある。

HATED JOHN / VACON
Afro Man / VACON

そんなVACONが、SOUL’d OUTのMC/Human Beat Boxを務めたBro.Hi率いるE.P.Oと曲を作ったというのだから期待せずにいられなかった。
そもそも2人は去年の超大型マイクリレーである「Now or Never」で共演しており(しかもBro.HiからVACONにPASS THE MICしている)、VACONのTwitterを追う限りいつか一緒に曲作りそうだなと感じていたが思ってたより早くリリースしてきたのが今回の楽曲である(因みに同マイクリレーにてBro.Hiは勘とcanを使い分ける知能犯ぶりを十二分にアピールしている)

Now or Never mic relay

ということで、今回は「お茶の子さいさい feat. VACON」についてレビューしていく。
余談だが、今年ネットラップのマイクリレーに私がDotBack名義にて参加し、そのマイクリレーにてVACONもゲストとして参加していただいたがスキル(と人気)の違いを圧倒的に見せつけられた。個人的には頑張れたverceなので暇な方は是非ともチェックしていただきたい。

『未来予想図』GUEST/ VACON,NIYAN,WAz拾伍

「お茶のこさいさい feat. VACON」はblack企業へのアンサーソングになる。
溜めた鬱憤を放つかのように荒々しいギターソロから始まり、ドラムとコーラスが重なり初めそのままの勢いをたもちながらラップに入り、そこから3人のラップを淡々と繋げていく。
曲を作り始めて思ったがこのように曲の勢いを作るのは本当に難しい、歌詞を書く日にもよればブルーな日もあるし変にハイな日もあるからだ。
「お茶の子さいさい feat. VACON」はそんな製作者サイドの事情を感じることさせることなく濃密なラップを4分半に渡って繰り広げる。
反骨精神サイドのHIPHOP要素とグライム要素を各々3人がそれぞれのステージから表現している。

この曲のverceからは怒りと同時に自分への鼓舞を感じた。
「いやーblack企業むかつくわ」と同時に「現状に抗っていく精神も焚きつけていかないとね」というメッセージが読み取れる。
文句ばかり垂れ流しても一方向の会話しか成立しなく、解決のためにはそれ以外の何かを必要とするし結局のところ自分からアタックすることにも意味がある。
VACONのverceを借りるならば「アテにしてんだろう?根性論 感情論 覚えおきな what gose around come around」がこの曲のメッセージを表現しているように思えた。
中指の立て方にも色々ある。

「お茶のこさいさい」という曲名の通り、大小関わりなくハードルを軽々と超えていくし、どちらかというと超えていこうという精神が重要と言っているのかもしれない。
私も社会人になり数年経つが、業務が重なってしんどい時や自分の責任に押し潰されることが屡々ある。
そんな時に心からダウンしていくと術中にハマるので、「楽勝だぜ」メンタルに切り替えることが秘訣なのかもしれないと最近気づき始めた。
なので、金曜の夜にこの曲を聞いてババーンと解放するのもありだが、それよりかは、朝珍しく早起きした時や昼休みの空いた時間に聞いてからシュッと心を入れ替えて仕事に臨む為に聞いた方が良いと思う、というより、私はそういうシーンで聞いている。(「ふらっと寄って 唄っちゃった」のフレーズにもそっちの方が適していると思うので)
別曲「STAY BEAUTIFUL / Diggy-MO’」内の「賢明に言って簡単だって言ってやれ」というフレーズが私は好きであり結構行動の指針になっている。「お茶の子さいさい feat.VACON」からも同じマインドを感じることができ嬉しく思えた。

そんな社会人に向けた曲であるが、各verceの好きな部分について書いていく。因みにリリックは記載しない、折角MVがリリックビデオ形式になってるので是非ともMVを見ることをお勧めする。

お茶の子さいさい feat.VACON

■Bro.Hi
全体に渡りキレキレのRapが際立っている。
BPMが速いにも関わらずOn/Offの乗り方を使い分け、かつ、メロディラインを決めるべき部分でバチっと決めてくるあたり流石のスキルを感じた。
こうBPMが速いと言葉を詰め込みがちで淡々とした展開が多いが、小節毎にメロディを聞かせる展開になっており聞いていて飽きない。
「FUGA RAP 小品 / E.P.O」と同様のRAPに捉えられるが、私見では異なったアプローチをしておりBro.Hiのラッパーとしての引き出しの多さに驚きを隠せない。
特に、「マダだ マダだ メンタル上げ 茶茶」のフロウ(特に「メンタル上げ」部分)はかっこいいし「Bro.Hiだなやっぱ、これは他のラッパーは出てこないわ」とニヤけてしまう。
また、「シャレオツ?」のニュアンスは逆に今までなかったように思える(すごく細かいが、「シャレオツ?」の前に「え?」と1泊置いてくるあたりが好き)
ラストverceに向かうにつれて鬱憤の発散が爆発するかのように激しくなってくる。
「デキる子です彼 腰巾着」「5時を過ぎたらイソギンチャク」は皮肉が聞いていて面白い。
そこから「溜めて溜めて出す」の連打になるが、私の中では先述した通り自分への鼓舞の曲なので、「いやそこまで溜めんなよ」と逆説の意味が含まれているように思える。(「サプリ飲んで出す」は「あ、一応健康に気は使ってるんだ」とニヤけてしまつた、Dr.COYASSの医師的関係性も感じることができるので曲内で一番好きな部分)

■VACON
敬意を持って言うが彼が一番変態だ、「Afro Man」ではなく「HENTAI Man」の方が適している。
一度聞くとわかるが、リズム感覚、韻の置き所、単語の選び方が常軌を逸しており、なのに聴き心地が良いラップとなっている。
これを変態と言わずしてなんと言おう。
VACONの気合の入りようがいつになく籠もっており、リズミカルなフローの中に「三文芝居」「さあ、もう終い」といった硬い韻をリスナーが気付けない程サラリと置いてくる。
英語と日本語の羅列の中に必ず重要な含みある単語を選んでおり実に憎い、ある種清々しい程の日本語ラップを見せてくれている。
verce最初の「now I’m standing on the 土壇場 run mad, damn bad」について、普通は「土壇場→」と一定なリズムと音程だが、一度「土」で止まり「壇場」にアクセントを置き、更に「run mad, damn bad」で流れるように韻を踏んでくるので(追加でメロディラインでも踏んでているので)、これが新しいグルーブを生みだしており、また、前置詞の後に日本語を置くあたり本当にSOUL’d OUTの好きなんだな、と思わせてくれる。
「哀れさ〜」以降の展開はこのビートにとても適しておりここの部分がHookでもいいぐらいの存在感を見せている。
かと思えば、「ただ喰うか〜」でメロディラインを繰り返さないあたりS気高くfeaturingにも関わらずこのビートを自分のものとしてるので、「やっぱカッケーな」と思う次第である。通常の日本語とは異なる発音とアクセントを用いることでラップの幅と新しい聴きごこちを開発してくれるあたり、日本語ラップの開拓者めいたものを感じた。

■Dr.COYASS
元メジャーアーティスト、現歯科医師・歯学博士と異常な経歴をDr.COYASSを持っている。
中目黒コヤス歯科HP
(今更ながら、自分のMC名をドメイン名にするあたりやはり只者ではないなと思う)
他2人と異なりDr.COYASSのラップはメッセージ性が明らかであり一度の視聴で何を主張しているかを読み取ることができる。
それがこの曲自体のリリックのメリハリを作る最大の原因となっており曲内の1番の功労者(縁の下の力持ち的役割)と思う。
また、実際に歯医者を運営しているからこそ出てくるワードが存分に含まれており、実際に最前線の人が言うから納得せざるを得ない、まさに「何を言うかではなく、どの口が言うか」状態を体現している。
「うちがブラックだって言うなら 誰がホワイトニング法をレクチャー?」はリリックとしてもエッジが聞いていて面白いし、何よりTwitterの発言を見る限り実際のホワイトニングに対して並々ならぬ勉強量とそれに裏付けされた自信があるように見えるので、表向き裏向きにも感心させられるラップとなっている。(しかしこの後、「向精神薬」「超元気になる」の次に「突然死にます」と続くので「いや、死ぬんかい」と医学の儚さを汲み取ることができた)
「いつの間にやら経営者」と言うフレーズからもわかるとおり経営者目線からのblackイメージに対するアンサーとなっている、この部分もどちらかというと雇われ目線だった他2人と対比となっていて面白い。
そんなイメージに対して「契約」「雇用関係だ」とスパッと割り切っている部分も灰色の関係を否定していて好感が持てる(「口約束」と言うフレーズもあるが、もしかしたら歯医者から連想しての「口」なのかもしれないと妄想を膨らませてみたい)

そんな3人が織りなす「お茶のこさいさい feat. VACON」であるが、「L STREET」「FIRE ROCK」とはまた異なった荒ぶり方を感じることができE.P.Oの新たな可能性を見ることができた。何度かLIVEを見たことがあるが、バンドサウンドの中でのE.P.Oは圧巻である、音源とは別の発見と興奮を味わうことができるので嬉しい。そんなE.P.Oのワンマンライブが2020/8/30に予定されているため、是非とも参加いただきたいと思う(メンバーでもなく一ファンが言うのもおかしいことだが笑)

昨今の事情のため、配信のみとなっているが初ワンマンライブなのでとても楽しみにしている。
私が好きな「NIGHT KITCHEN」は今までのLIVE参加で見ることができなかったので見れるのを期待してしまっているし、もしかしたらVACONも出てくるんじゃないかと色々と妄想を高まらせてしまう。(LIVE前の、こう、「あの曲やるかなー」とか考える時間って楽しいよね)

そんな感じで、時間空いたがフラッとレビュー記事を書くことができた(大体2時間ぐらい書いてた) 今後も思いついたら書いていくのでよろしくお願いします。

洋平

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