「KING OF KINGS 2021」(レビュー)について(2022/4/3)

昨日、2021年のKOKを見ました。
僕は、何を隠そう三度の飯よりMCバトルが好きです。



ただ、MCバトル大好きマンのぼくですら、ここ最近のMCバトルの興行感にマンネリを感じており、
ワクワク感が欠けていると思っています。

2013年までのUMBには、夏の甲子園感があって、戦慄MCバトル・ENTERには、地方大会感あってよかったのですが
今は、興行化がより悪化して、ギャラをもらった上に、MCバトルに参加するという、、、
名を上げるための健康的な売名行為から、日本語ラップとして、不健全な活動になるという本末転倒ぶり。
(2022年は、売名行為が「ラップスタア誕生」という場所になっていて、音源の力が試されているのが今です。)

「人生をかけた戦いか??」というより、ストリート感を代償にしたうえでの、一般的なエンターテイメントです。
興行として理解して楽しめば、、大丈夫、万事オッケーです。

なお、僕の中で、興行として、最も完成度が高いと思うのは、KOKです。


明確な審査基準

僕の中で、KOKの評価が高い理由は、まず、採点方式が明確。

1. パンチライン
有効なRHYMEを繰り出し、よりダメージを与えた方を優勢とする

2. アグレッシブ(有効な攻勢)
より攻撃的である方を優勢とするが、自己紹介的なRAPではなく、BATTLE RHYMEとして成立しているかどうか

3. ジェネラルシップ(主導権支配)
個性的なFLOWやSKILLで巧みな試合運びをし、主導権を支配している方を優勢と­する

4. カウンター
相手の攻撃に対する具体的なアンサーを返せたかどうか

KOKのHPより

これは、MMA、格闘技と同じように、採点表の公開もしてれると、より楽しみが増えるし、審査員に、AKLO、ZEEBRAがいる理由に納得できるかも。

この審査基準である限り、”韻を踏む”ポイントが存在するため、今のニューエイジ(若い子)は、勝てる能力が足りないと感じます。
今のニューエイジが20代のR-指定レベルにうまくならないと、ニュースターが生まれにくいのは、難点かも。
ニューエイジが得意な引き出しの韻を繰り出しても、審査員に響きづらく、人気投票ではないがため、即興性に優れた妙な韻が踏めるHI-KING TAKASEが勝ち上がったりする根拠だとおもいます。

毎年の改善

あと、めっちゃ反省し、ルールを適宜、調整している点。
今回は、声が出せないことに鑑みて、客は、歓声の代わりに、青バンド・赤バンドを掲げ、万が一、判定が不明瞭の場合は、写真判定という徹底具合。好感がもてる。
(KOKが最も反省すべきだった点:MASTERが判定できる能力ない。)

ぼくは、MCバトル(初期のLibra)のグタグダ具合がストリート感あって好きだったんですが、今年は特に、コロナ禍で会場の時間制限があってということもあって、テンポが良かったです。

特に「ラッパーがラッパーを審査する時代(BBP)」に疑義を提唱し、
観客を沸かす能力と観客の判断を信じたUMB時代を経て、
単なる揚げ足取りが散見するバトルを否定し、人気投票を否定することで、(観客を信じられなくなってしまった)時代に、突如作られた、全ての大会の上位に君臨するKOKです。なんとも偉大な大会です。

豪華で新鮮なトラック

他の大会と圧倒的な差異は、トラックが良い点。
一流のトラックメーカーによる、おろしたてのトラックが新鮮です。
MCバトルといえども、やっぱり重厚で質のいいトラックであれば、音楽的に楽しめるので、嬉しいです。

昔、はびこっていた、知的財産権よろしく、USのトラックを勝手に拝借する時代は、日本人にとって非常に良かったのですが、、、DVDやYoutubeの収益化の壁で、粗悪で子ども向けのバトルビートの出現と、(たぶん)許諾を得たうえでの日本語ラップの楽曲のinstrumentalの使用が主流になりました。

前者のバトル用のトラックは、人それぞれの趣味ですから、譲歩するにしても、
日本語ラップの楽曲のinstを使用するのは、控えて欲しいです。

犠牲者の代表格の「蜂と蝶」・「証言」なんかは、”クラシック”から「MCバトルでよく聴くトラック」に地位を落としました(そういや、決勝の「証言」を最近聞かないなぁ)。

日本語ラップの名曲を、「誰と誰のバトルビート」と称されるのは、MCバトルの汚点だと思います。
その点、DJ YANATAKE, DJ WATARAIによる贖罪が必要です。

KOKは、バトルだけに固執した陳腐なトラックではなく、音楽性も重視したトラックで、非常に上品な仕上がりです。
トラックのおかげで、全体の雰囲気もいい。

文脈

あと、文脈がある程度作られている点。
今回でいうところの記者会見の「梵頭 対 晋平太」など面白いです。

あとは、2016年から生まれたラップスターのGADOROの存在ですね。
「mol53対GADORO」という構図も、やはり秀逸で、ヒリヒリ具合は、ほんとに面白かったです。

ビンラディンは、アルカイダ。
アルカイダだな、13階段、目のまえに、あるからな

GADORO 対 mol53 決勝

mol53の即興がかっこよすぎて痺れた。

各論でいえば、ISSUGI対T-pablowという名勝負がありました。
後世に遺恨を残した試合ですね、、絵に描いたような「人気投票 対 正しい日本語ラップ」ってな感じ。延長が続き、胸が痛い試合でした。

とはいえ、将来に向けてKOKの立ち位置を正しくしたISSUGIのラップバトルです。
KOKにおいて、若い世代(ニューエイジ)の門前払いが確定した瞬間です、アンダーグラウンド万歳三唱。

「てめーは主役になりてえんだな、俺は脇役で十分。ヒップホップは名のないヤツに言葉持たせる音楽。」

ISSUGI 対 T-pablow



わがまま言うとしたら、2021年の大会は、ぜひ、年内にして欲しい(年初にするとR-1みたいに、パッとしなくなる。)、、もう、UMBと全く別物として、無視しちゃえば。。(あと、ラウンドガールをもっとセクシーにして。)


さて、結果(FORKの優勝)を知っているけど、楽しい大会でした。

以下、感想です。

KOK2021の一回戦の感想

  • FORK(真アドレナリン)対 Yella Goat(U-22)

「音に乗ってるつもりでも、みんなと求めてるものとズレてる
つまり、俺に負ける時が訪れてる。それは、音とズレてるとも言える。」

FORK

Yella goatは「言いたいことがわからない」、「音に乗れてない」、「ヒップホップがどうとか知らない」の3本柱で対話にならない試合でした。その分、FORKのラップのうまさが映えていました。
Yella goatの声のキーが高くて、聞き取りづらかった。緊張してたのかな。

FORKの妙な言い回しと韻は、おもしろい。

「まだまだいけると思ってるよ。ネバーリタイア。まだまだ粘りたいじゃん。まるでキングカズくらいやっときゃ、韻踏まず勝てる時がくるかもな。結局。俺がやばいって言いふらすことになるぜ。」

FORK

Yella goatは、今月(2022年1月)末に「音源出す予定です」と言ってました(見あたらなかったけど)。

  • 「Maiji(西日本大会準優勝) 対 ニガリ(SPOT LIGHT)」

九州の久しぶりのニュースター。
REIDAM, 智大、PEAVIS、ROWAXXX、GADOROといったラップ超うまい土地柄。

特にMaijiは、ベゲfastman人からわかるように独自のグルーヴがあります。ここ最近では珍しくMCバトルで発見できた、良いラッパーでした。

「何を言っとるんじゃ。ジュージュー焼肉でも焼いてろ。俺は、九州から吸収しにon the run」

Maiji

一方で相手は、根からのMCバトル巧者のニガリ。上記で挙げたROWAXXXを除く、REIDAM, 智大、PEAVIS、GADOROといった九州のラッパーは、本調子を発揮しないまま負けるのが、全国大会の常でした。
思わず吹き出しちゃうようなラインをラップしてました。

「北九州のラッパーは地元じゃ強いけど、東京じゃビビっちゃって、目も合わねえの。」

ニガリ
  • 「晋平太(口喧嘩祭) 対 梵頭(西日本大会ベスト8)」

晋平太と梵頭のラップ基礎体力(滑舌、韻、フロー、内容)は、明らかで、特にワンバース目は圧倒的でした。
でも、負けちゃうところは、まさかの晋平太の勢いが尻つぼみな点だったかもしれません。梵頭が、最後、晋平太を抱きしめるという鳥肌必至のオチ。

歓声がないと、完成しないが、反省しないし、懺悔しないかっけえ試合掻き消したい。おれはラップのフランケンシュタイン。大丈夫か?ヤンキー座り体育座りで、退屈なラップするんじゃね。」

晋平太

実のいうところ、2021年、ひょっとしたら晋平太が優勝するんじゃないかと考えていただけに、ぼくにとっては、少し残念な試合でした。

「負けないくせに、こいつ裏で巻いてるぜ。」

梵頭

お父さんこと、DJ YUTAKAと晋平太が吸ってるのは、有名な(うわさ)話。



KOK2021の二回戦の感想

  • 「Sillent Killa Joint (SPOT LIGHT準優勝)対 FORK」

LORD8ERZのアップテンポなトラックのうえに、二人のラップは、気持ちいいくらいに、映えました。言い澱みなし、本当に、即興!?と思えるほどの完成度。
なんにせよ、SKJのラップがうまい。この試合のグルーヴ感と即興性だけにお金を払って見る価値はあります。

ただ、SKJは惜しかった。トドメしきれないところもSKJの良さであり、音源とのバランスが取れているラッパーであるが所以なんですが。

FORKの細かい韻とグルーブが、全盛期ばりに最高。相手の最後のフレーズに、即興で踏み、その韻で倒していく芸当です。

ラウンドガールよりも明らかにマウントとってやるよ。
漫画みてえにギャフンといっちまうのはどっちかな。パウンドする必要もねぇ。
で、タップするみたいに、たっぷりラップして、どっちが、チャンプか分からせる。完膚無きまでに叩きのめすぜ。

FORK

その(音楽家としての)動き方。知ってますよ、少しなら。やってきてますよ、20年。人生っていうのは、持久戦。

FORK


なお、全体を通して、CHEHONが生理的に無理でした。よくない時のDOTAMAくらいに、MCバトルにおいて、音楽性が低くて、揚げ足取りだけに徹してました。KOKの決勝において、めちゃくちゃ浮いてました。あれじゃCHEHONのネガキャンだろ。
  • 「呂布カルマ(前回優勝者) 対 ニガリ(SPOTLIGHT)」

「置いていくも何も、お前は俺の横に立ったことないけど」

呂布カルマ

お互いに言うことがないのか、議題が小さい(不倫はありかナシか、お金の使い道)。笑
でも、お互いにラップがうまいから、延長戦を含め、面白い試合でした。

「テメェと違って、300万で人生を変える。」

ニガリ

「たった300万で人生が変わるなら、300万とっても、また300万で躓く」

呂布カルマ

バトルで結果(しか)残していないニガリに対して、流石のディス。(ニガリは、何回優勝しても、優勝賞金を全部遊びに使ってるのもすごいけど。)



KOK2021の決勝の感想

  • 「FORK 対 呂布カルマ」

最後は、LIBROのトラックでした。ループでありながらも、短い展開を感じる豪華なトラックでした。

奇しくもフリースタイルダンジョンのモンスター同士の対決。

「何でもかんでも思いついた韻を、適当に踏んでしまうお前とは違うねん。120個以上捨てた後、一番気持ちいいだけを持って帰ってきてる。」

呂布カルマ

「冷めるぜ、FORK。俺以外にはいいけど、俺にはやめとけよ。
言葉遊び、だいぶ前のスタイル。
勝手に2周目って言ったな。それ自分で言っちゃうんだ。
俺は今だに1周目。でかい円周で回るぜ。まだ見たことない景色を見せるため。2周目とかないんだよ、ばか。」

呂布カルマ

「(「豊洲ピットで、ラップをスピットするのはどっち」に対して)こっちだよ、フルスピードで行くぜ。スキットじゃねぇ、これはちゃんとした曲だ。好きもんたちが集まってるよ。エスキモーみたいに、寒いところでもな。」

FORK

BPMが早いトラックに対して、オンビートで乗り切った呂布カルマとFORK。
呂布カルマの切り口が妙なディスに対して、FORKの細かい韻と圧倒的なパンチラインという構図。

特に、円周率の返しには、抱腹絶倒。すごすぎて、笑っちゃいました。

円周率、3.14。この試合終われば、完全に死亡。しちゃうのどっちかな。

FORK


KOKは、やっぱり、即興です。
この試合も、「Sillent Killa Joint 対 FORK」ばりに美しい、ミスなしの8小節×4本。

客の判定は、FORK。審査員は、ドロー判定が二人と、FORK勝ちに二人。




全体に(梵頭の役者ぶりも含め)ヒリヒリする試合もなく、2006年からの不死鳥のごとく復活劇に舌を巻く、2021年でした。



後日談で呂布カルマは、バトル中に

「裏でハイタッチ。お前は他の後輩たちとは違う。」

FORK

このライン(内容とスピード)がすごすぎて、食らっちゃったとのこと。



最近DVで捕まったブラジル系ラッパーの、日本語ラップの唯一の功績は、イベンターとして、R-指定、FORK、CHICO CALITOを無理やり引っ張り出せるところです。

まさかだよ。 ACEがさ、しつこく誘ってくるからさ。最近は、やり方変えて、MC漢経由で誘ってくる。しかも、その理由が、「同じ子どもを持つもの同士、パパ同士、どうですか」。全く意味が分からねぇ。

KOK本戦出るつもりだったけど、降ろさせてもらいますよ。審査員。
なぜなら、ここ(真アドレナリン)の代表になったからね。

真アドレナリン2021年、優勝フリースタイルFORK

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