高野虎

本題に入る前にこちらの楽曲を聞いてもらいたい






この三曲は2001年〜2002年にリリースされた楽曲であり、ジャンル的にはミクスチャーロックと称されている。

Dragon Ashや宇多田ヒカルのブレイクを皮切りに、90年代後半から2000年代前半にかけて、日本の音楽シーンにHIP HOPやR&Bなどの新たなジャンルが進出してきた。それと同時にストリートカルチャーもどんどんと変わっていった。

そういった空気感は2005年辺りからオタクカルチャーが浸透いていき、徐々に薄れていってしまうものの、2000年代の日本には”ストリート至上主義”的な文化は確かに有った。

テレビドラマで言えば『池袋ウエストゲートパーク』、テレビゲームで言うと『ジェットセットラジオ』、音楽で言えばヒップホップ、ミクスチャーロックを中心にした数々の楽曲達だろう。

そして令和になった今、少しずつだが、また2000年代の”ストリート至上主義”が戻ってきている兆しがある。しかもその中心点はヒップホップだ。

例えば、先日Tohji属するMall Boyzがリーバイスで行ったフリーライブなどは、”ストリート至上主義”的な熱量と空気感。現場に居合わせることによる重要性を感じた。


そんな中、楽曲面においても2000年代的アプローチをしているのがCreativeDrugStoreのJUBEEだ。

氏の楽曲は自ら公言している通り、Dragon AshやTHE MAD CAPSULE MARKETSから影響を受けたという、ミクスチャー、ハウス、レイヴ的な既存のヒップホップの枠に囚われない独自のサウンドになっている。
ただ最初からそのようなサウンドだったわけでは無く、2014年にSoundcloud上にアップした1st EP『in305』や1stアルバム『TIME GOES BY』はどちらかというと無機質なビートの上にゆったりとラップ乗せていくスタイルだった。

そんな中で氏が2019年に発表した『NOISE SURFER MIND』という楽曲は現在の方向性を決定付ける楽曲になっていた。

ミクスチャーバンドMethods of Mayhemをサンプリングしたハードな楽曲は独特のMVも相まって今までの氏のイメージをいい意味で裏切る内容になっていて素晴らしかったです。

その勢いで翌月に発表した『BLUE ZONE』は打って変わって軽快なヒップハウスな楽曲。

この二曲とも共通して2000年代の香りが楽曲、映像込みで散りばめられていた。

そしてその流れで発表した上記の二曲が収録されているEP『Mass Infection』は自分のサウンドを確立させた氏の始まりを予感させるような作品に仕上がっていた。

先行シングルの二曲に加えてThe Prodigyなどを彷彿とさせるハードな楽曲『VOID』、そしてリード曲でもある『Morning Dew』の計4曲が収録されている。


特筆すべきはリード曲でもある『Morning Dew』だろう。この楽曲に関してはゼロ年代のミクスチャーロックに対しての彼なりの愛情表現のようなものを感じた。

1人のアーティストが自分の方向性を見つけた瞬間ほど尊いものは無いのだが、本EPはそういった瞬間がパッケージングされた作品になっている。

あとは、彼が敬愛するレジェンド達との共演を楽しみに待ちたい。