高野


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組み合わせというのは非常に重要である。単品でも素晴らしいものに別のものを掛け合わせることによって更に素晴らしいものに昇華する。ただ失敗すれば大事故が起きてしまうリスクもあるが。


HIP HOPにも相性の良い組み合わせというものがある。


その組み合わせの代表例というのはHIP HOP×R&Bだろう。特に男性ラッパーと女性R&Bシンガーのコラボというのは爆発力が起きやすいと個人的には思っている。


例えば

Jay-ZMary J. Bligeによる『Can't Stop The Hustle』だったり


LL Cool JAmerieによる『Paradise』だったり


個人的に近年でベストコラボなAmber MarkDRAMによる『Put You On』など時代問わず名曲が生まれやすい。


日本でもそのようなコラボは多い

Sugar SoulZEEBRAによる『今すぐ欲しい』や


MISIAMUROの『つつみ込むように (DJ WATARAI REMIX)』など


最近ではMALIYARyohuSTUTSによる『Breakfast In Bed』なんかも素晴らしかった。




RIRI
という若手女性R&Bシンガーがいる。


彼女はAirplayなどで活躍した名プロデューサーDavid Fosterが主催するオーディションに当時11歳ながらファイナリストまで残り、実際にDavid Fosterともライブで共演するという凄まじい経歴から始まり、デビューEPをリリースする前にサマソニに出演したりと非常に華やかなキャリアを積んでいる。


ジャズミュージシャンでラッパーでもある菊地成孔氏のラジオ番組『菊地成孔の粋な夜電波』でも紹介されていた


その際氏は「全盛期のホイットニーくらい(声を)張り上げてる。(ゆったりとした)流してる曲でも物凄い魅力的」と評していた。


そんな業界内外から一目置かれている彼女が先日5曲入りのEPである新作『Summertime EP』をリリースした。


デビュー作である『I love to sing』から前作『NEO』まで清水翔太MigosQuavoの彼女であるラッパーSaweetieなどとのコラボはあったがRIRIの作品には意外にも男性ラッパーとのコラボが無かった。



客演でもDJ RYOWの呼びかけでSALUSOCKSと制作した『Sky's the limit』しか無い。


今までとは違い三人の男性ラッパーが本作に参加していることから、明言こそされてないものの男性ラッパーとの共演がテーマになっていると感じた。


EPの一曲目はKANDYTOWNKEIJUと共演したタイトル曲でもある『Summertime』から始まる。

本楽曲はN.O.R.K.OBKRこと小袋成彬氏のプロデュースによるもので、名義もRIRIとしてでは無くRIRI, KEIJU & 小袋成彬という名義になっている。しかも本楽曲は資生堂アネッサCMソングにも起用された。


少し話はズレるが資生堂のCMはどの時代も本当に素晴らしい。その中でも個人的には同じくアネッサのエビちゃんが出演した2006年のCMが一番好きだ。


BONNIE PINKによる『A Perfect Sky』の素晴らしさはもちろんエビちゃんの抜群のスタイルが本当に美しくて何度見ても飽きない。

70~90年代の資生堂のCMも素晴らしいものが多いので是非気になった方はこのDVDを見て欲しいところ。

資生堂のCM vol.1 1961-1979(廉価盤) [DVD]
V.A.
エイベックスイオ
2012-08-29



話を本筋に戻そう。


そんなエビちゃんが久々にアネッサのCMに復帰した本CMに使われている楽曲だが、CMソングにあくまでメジャー志向ではなく独自の音楽スタイルを貫いている小袋成彬氏が起用されたことは素晴らしいと思う。しかも元々は氏単体でのオファーだったらしいがこの二人を呼び込んだ采配は見事だろう。


曲自体はCMソングらしい清涼感あるトラックだが小袋氏らしいどこか引っかかりのあるビートの上に伸び伸びとしたRIRIの歌声とKEIJUの男前なラップが上手い具合に化学反応を起こしている。まさに本楽曲は2010年代を代表する男性ラッパーと女性シンガーのコラボソングになっているだろう。


他にも本EPには韓国の若手ラッパーJunofloと先日ゆるふわギャングとのコラボアルバムをリリースしたカナダのプロデューサーRyan Hemsworthとコラボした『luv luv』が収録されている。


3
カ国の才能が言語を超えて一つの楽曲を制作するのは現代ならではといった感じで素晴らしい。Junofloが英語でラップしているのは少し残念だがメロディアスなビートに軽快なフロウがマッチしていて聞き心地も良い。


そして本EPのもう一つの目玉でもあるのがJP THE WAVYと共演した『Dilemma』のカバーだろう。


元の楽曲は言わずと知れた名曲であり男性ラッパーと女性R&Bシンガーのコラボの代表曲でもあるNellyKelly Rowlandによる楽曲だ。


本作の日本語カバーというとマニアはSierraの『SECRET』を思い浮かべる人もいると思うが


ビートのネタも変えサビのメロディだけ使った上記の曲とは違い本楽曲は一応ネタは同じでJP THE WAVYフロウやサビのメロディも元の楽曲を感じさせるものになっている。ただサンプリング的な要素も強いなんとも異質な楽曲になっている。プロデュースを担当したのは前回当ブログでも紹介させて頂いたDJ CHARI & DJ TATSUKIだ。


色気のある男性ラッパーとコラボすることによりRIRIの持っているポテンシャルの一つが新しく解放されたEPになっていた。だが全5曲と言っているものの5曲中3曲は前もって配信されている楽曲な上にその他の一曲は前作に収録された『HONEY』のBUNNYによるリミックスで実質新曲と感じるのは『Better Days』のみというのがなんとも残念だった。正直このクオリティならフルアルバムで出して欲しかった。


前作で所謂R&BシンガーのJ-POP化を早くも感じてしまったので、本作はそこからまたR&Bに揺り戻してきた感じがしたので次作は非常に楽しみである。