こんにちは

前回のブログでも触れましたが、RIP SLYMEの公式ブログが閉鎖される予定です。
面白いのはPESは知らなかったことですね。(ほかメンバーも知らないんでしょうが)
そんな中、沈黙していたSUが口を開き、お詫びしました。

「一年と半年、わが身を省みて恥入るばかりです。
毎日を丁寧に、失楽園ベイビーとならぬように。。。。」

あの名曲をわざわざ本人がギャグに
今んとこ100点満点のお詫びでしょうし、世間は許しましょう。
くだらないですから、アルバム、新曲お待ちしています。


今回はRIP SLYMEの穴を埋めたラップグループについてコメントしたく
Creepy Nuts/クリープ・ショー
クリープ・ショー
Creepy Nuts
SME
2018-04-11


今までホップのラップがアンダーグラウンドで受け入れられなかった中に
トラックもあるでしょうが、大きな要因としてリリックだと思われます。
RIP SLYMEは特に強いメッセージを込めた曲が少ないように
世間はそこまで思いメッセージを求めてないというところが原因かもしれません。

それを克服したのがCreepy Nutsだと個人的には思っています。
暗く自己嫌悪の強いリリックを明るいトラックでしっかり中和した曲が多い印象です。

ポップな Creepy Nutsがディスの対象になりにくいのは
結成までの二人の功績にあります。
R指定は大阪連続5回チャンピオン、UMB 3大会連続優勝。
DJ松永はDMC JAPAN DJ CHAMPIONSHIPS 2016のシングル部門にて準優勝です。
ここまで目に見える経歴をひっさげたラッパーがメジャーで音楽をしたことが日本ではなかったのです。
文句のつけようがない経歴です。
万が一ディスってしまった際、長い目で見ても勝てる見込みが非常に薄いのが
この二人の良い意味で悪いところです。
「楽曲なら」という方もいると思われますが、ギャングスタごとき高校生の時からMCバトルでやりあってるR指定
今さら楽曲で負けるのも想像つきにくいです。
このグループを結成す前には、I-DEAの全面バクアップの元「セカンドオピニオン」を出したり、いまだにI-DEA名義の作品にも参加しています。
Beef請負人のI-DEAとのコネクションがある百戦錬磨のR指定に負け戦を挑む輩は少ないです


そんな世が認めた二人が出すメジャー作品は「まぁポップな」仕上がりです。
クラブでの勝負ではなく、「ライブハウス」をイメージした楽曲で
クラブに来る人たち向けの作品は非常に少なく、ターゲットは中学生・高校生・大学生です。
日本語ラップを音楽として間口をより広げることを目的として役割を担っています。

R指定が作りこむリリックは一人で作った「セカンドオピニオン」より

セカンドオピニオン
R-指定
LibraRecords
2014-04-01

DJ松永がいることでテーマは洗練され、あらゆる角度で、物事を見ています。
ラジオを聴いていると、楽曲のテーマつくりの段階から二人で話し合っているところが垣間見えます。
ただ「いけてない自分」を歌うのではなく、面白みのある比喩表現、視点でアルバムは構成されています。




そして一曲目
「手練手管」

俺ら怪しいモンじゃござぁせん まずはこじ開けるそのかたく閉じたドア
ハナから開く気もありゃせん そこのドたわけ
その鼻っ柱折るため 高座上がった前座噺家
偉そうなどこかの誰かが したり顔でふりかざす正論
だまらすこのmicrophone 逃げ口上 詭弁暴論
Welcome to the ダメ人間工場 戯言、たわごと
業の肯定が俺の仕事 Check out my タン&フィンガー
その体あずけてみな Don’t stop da music
へらず口 コイツで狙い撃ち

俺も最初は変だと思いました しかも何か怖いなと思いました
危ないんじゃないかと構えました でも触れてみた怖いもの見たさで
ビートに首を縦にふった 回りの大人は横にふった
耳でよっぱらい脳でトんだ 病みつきになってた妙な感覚に
規則的な一定のグルーヴが規則的毎日を狂わした
始めて韻を踏んだ瞬間 俺は人生のレールを踏みハズした
回り回ってお前の耳元 夜ごと世迷い事 四の五の
年の頃十四五六のガキから 果ては還暦 または乳飲み子まで
その気にさせる口車 のっかった奴から伝播伝播
1人2人増える感染者 お前もとうに頭ふってんじゃん

一曲目から、二人が考える「日本語ラップ論」に(タイトル通り)思うままに人を操り、誘います。
個人的に二番目の歌詞の「俺も最初は変だと思いました しかも何か怖いなと思いました
危ないんじゃないかと構えました でも触れてみた怖いもの見たさで
はツボでした。
誰もが、初め日本語ラップに抱いた感情なんじゃないでしょうか。



「ぬえの鳴く夜は」

鵺の鳴く夜は… 歪な音色に誘い込まれ身籠もる晩
Half man Half amazing 半人前?
キメラ、キマイラ何とでも呼べ。
あの人のコレと、その人のアレと…
偉人先人達の轍をブレンド 他人のフンドシと
己のスメルと ちぐはぐな文法
つぎはぎの言語 勝算は無しハナから綱渡り
採算度外視の憂さ晴らし 一物も与えてくれんかった天に
弓引いたいつかのワナビー 楽器一つも弾けないくせに
ほら楽しむ器ならあるちゃっかり 褒められたもんじゃ無い犯行動機
we are自称ミュージシャン反面教師

どこで何言おうが糠に釘 馬の耳に恨み節
「キレイなお唄の添え物でイイワ」
ドライな感想ありがとうお嬢ちゃん 今に湿らすその蜜壺
理屈っぽい五つ星シェフのピストン 不吉?不潔?受け付けない?
そんなアナタにも打ってつけLet’s get HI

同じ響きのあの子とこの子 繋ぎ合わせる夜の秘め事
唄とベシャリに二股掛けて 生まれ落ちた異形のあいのこ
同じ響きのあの子とこの子 繋ぎ合わせる夜の秘め事
唄とベシャリに二股掛けて 生まれ落ちた異形のあいのこ
奇っ怪でけったいな姿形 曇り空へfly away


そもそも、鵺とは「日本の妖怪。伝説上の妖力をもった怪獣。頭は猿、胴は狸、尾は蛇、手足は虎。」
オカルトマニアなR指定ならではの表現ですね。
日本語ラップをつぎはぎだらけの妖怪に例えている歌です。
ヒップホップのトラック自体、サンプリングですし、日本語ラップの歌詞でよく指摘される崩れた文法、スラング、英語混じりなリリックです。
日本では、美しいとは決して言えない、「日本語ラップ」を家業として働く決意の歌です。




「紙様」
金は人を帝王にする はたまた裸の王にする
手にした途端に誰もが調子づく 無くなりゃ即調子狂う
効率重視でローリスク 法律スレスレ凍りつく
一歩間違えりゃ人生棒に振る また誰かが音信不通
悪い金、良い金、やらしい金 正しい金得るためただ get busy

HEY HEY Mr.リッチメン いつもしたがえてる大勢のイエスマン
奴らお前自身じゃ無くて お前のサイフにしっぽ振ってる
HEY HEY Mr.リッチメン いつもはべらしてるべっぴんさん
奴らお前自身じゃなく お前の預金残高とFuckしてるだけ
めちゃうらやましい 金持ち皆くたばりゃいい(働け)

No No、プラダ No、フェンディ、No、エルメス、No、グッチ ヒデー男と言われても仕方ない
一応それなりに頑張っちゃいるが こりゃちょっとした行き違い
No No、プラダ No、フェンディ、No、エルメス、No、グッチ
ヒデー男と言われても仕方ない 一応人並みに目が無いけど
昔からコレには縁が無いゆうてねぇ

Creepy Nuts流のお金、給料、生活費、の価値観です。
めっちゃこの歌詞は面白いんですよね。
入りの丁寧な韻踏みは「王にする 王にする 調子づく 調子狂う ローリスク 凍りつく
人生棒に振る 音信不通」でワンバース締めます。

最後にかけて
No、グッチ ヒデー男(野口英世)と言われても仕方ない  一応それなりに頑張っちゃいるが こりゃちょっとした行き違い (諭吉)
 一応人並みに目が無いけど 昔からコレには縁が無い(¥がない)
子音踏みの連続です。

R指定ならではの圧巻の語彙力です。




「スポットライト」

俺は今決して替えの利かない存在 矢面に立って浴びるスポットライト
でも本当は昔からそうだった あのベンチに座ってた頃から。なのに…
御託並べて斜に構え 蚊帳の外から眺める数合わせ
流れ流され人任せ こびりついて取れねぇ
「どうせ俺なんて…」 勝つ事も、負ける事も
そして喜ぶ事も まして泣く事も 出来ずどっか他人事
早く気づけよソコもガチンコと はたから見れば小さなステージか?
取るに足らないありふれたページか? そこは裏面?日陰?知ったこっちゃ無いぜ
もうとっくに幕は上がってんぜ

この選択は果たして吉か凶か 掴むか逃すかも俺次第
この静寂は…もしや永遠か? 脂汗が滲むひたい
あの日羨んでた後ろ姿 奴はこんなモンと闘ってたのか…
信頼って奴が 重くのしかかった両肩
笑うヒザ 陰に隠れりゃ 怖くないが
誰かを盾にすりゃ ケガしないが
俺は俺のまま尽くす最善 たとえ底辺だとしても最前線
それぞれの立場、それぞれの持ち場 修羅場土壇場ど真ん中
当てろ照明 見てくれ聞いてくれ
逃げも隠れもせずに立ってるぜ

使えない奴らトレンチコートマフィア
たりないふたりか?所詮脇役か?
次用意したのはどんな言い訳だ?
転ばぬ先に保険かけましたか?
もうやめようや、もう胸張ろうや
他の誰でもねぇ俺に言ってんだ。
身の程知らずと笑われようが
I’m a No,1 player 元ベンチウォーマー


Creepy Nutsの割には明るい曲です。
展開の少ないクラシックを彷彿とさせるトラックに
シンプルにラップのうまさを目立たせます。
「メジャーでやってるけど、俺まだヒップホップもやってますよー!?」的な
メジャーデビューしたラッパーにありがちな曲ではありません。

心底、Creepy Nutsの日本語ラップを体現した曲です。
最後のバースでまさかの今までの曲を否定して、曲もアルバムも締めます。
「使えない奴」ら「トレンチコートマフィア」
「たりないふたり」か?所詮脇役か?
次用意したのはどんな言い訳だ?
転ばぬ先に保険かけましたか?


自分からハードルを下げることをやめた二人のこれからの躍進をこれから期待できます。
こんな曲出してるのに、最近ラジオでDJ松永が
「自分が替えの利く人間であることをしりたいからバイトしたい」と喚ているのが笑えますが。笑



アルバム全体で聞くと苦しい曲もあるっちゃありましたが、
かっこいい曲が多い印象のアルバムでした。
ラジオも日本語ラップ愛が強く、面白いので応援しています。
RIP SLYMEを聴いて育った世代の日本語ラップが
日本の音楽レベルを引き上げることを祈って。


日本語ラップオタク